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第10話-1

「ちょっ…なに、その話!あははっ!もーダメ、お腹痛いーっ」 …目の前で、一ノ瀬がテーブルを叩きながら大笑いしている。 「…で、昨日、やっと付き合うことになったわけよね。おめでとう!良かったじゃん!」 「…いや、良かったけどさあ…」 次の日の日曜日、俺と大輝は、近くのファミレスに一ノ瀬を呼び出して、事の顛末を報告していた。 一ノ瀬は、大輝の気持ちに気付いていたらしい。 「大輝くんのシュートの成功率が大きく下がった時期があってね。原因を探ろうと思って、大輝くんを観察していたの。そしたら、何かにつけて悠斗くん見てるのに気付いちゃって。悠斗くん関係でいいことがあったら、その日はよくシュート入るし。大輝くん、分かりやす過ぎて面白いんだから」 「面白がらないでよ、もう…」 大輝が困ったように言う。 一ノ瀬は、紅茶を飲んでから、そんな大輝をおもしろそうに見て言う。 「大輝くんは、気持ちにムラがあるのは難点だけど、基本的なフォームはしっかりしてるのよね。だから、1年生の指導係を任されたの。最初は、俺でいいんですか、なんて言ってたけどね。部長が、お前はみんなのお手本になる、だからお前がいいんだ、ってゴリ押したのよ。サッカー部じゃピンと来ないかもしれないけど、部長や副部長は、結構な確率で指導係経験者なのよ」 「へー」 やっぱすげえんだな、大輝。そんな奴が、俺の恋人だなんて、未だに信じられない。

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