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第10話-2
俺は、コーラを一口飲んでから、ため息をついて言う。
「だってさ、大輝と一ノ瀬、ふたりで仲良さそうに歩いてんだもん。デートだと思うよ、ふつー」
「部活に必要なテーピングとか、買いに行くのを手伝ってもらってたの。大輝くんの相談を聞きながら、ね」
「相談?」
首を傾げて一ノ瀬の顔を見ると、一ノ瀬はニヤリと笑った。
「そ。悠斗くんに告白なんかしたら、嫌われちゃうかもーって相談。ま、会話の半分以上は、いかに悠斗くんが可愛いかを力説しててさー」
「げほっ!」
「ちょっ…一ノ瀬さん!」
コーラが喉に詰まってむせる俺。焦る大輝。
そんな俺らを見て、また笑う一ノ瀬。
「えっ、じゃあ、ふたりでよく話してたのは?」
「大輝くんに、さっさと告っちゃいなさいよって、発破かけてたのよ。入学式の日なんて、悠斗くんちに行ったりしてチャンス到来だったのに、大輝くんがグズグズしてるからー」
大輝を指差して、一ノ瀬は言う。大輝の眉の間に、きゅっと皺が寄った。
「…だって、悠斗、いつも痴漢にあってて、男に触られるのなんて嫌、って言うから、怖くなって」
「ーーー!だからっ、いつもじゃねえよ!」
「もー大輝くんのヘタレ!」
俺と一ノ瀬の声がハモる。なんかもう、むっちゃくちゃだ。
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