39 / 66

恋人編 第1話-1

『2点A(1,6), B(5,3)がある。点Pが直線y=-x +5上を動く時、AP+BPの最小値と、その時の点Pの座標を求めよ』 「ああっ、また出たな、点P!人の許可もなく、勝手に動きやがって!もー止まっとけ!てゆーか出てくるな!」 頭を抱える俺。そんな俺を見て、笑う大輝。 俺は、顔を覆ったてのひらの隙間から、ちらりと大輝を見る。俺の好きなあの笑顔で、俺を見てる。かっこいい。かあっとほおが熱くなって、また顔を隠した。 図書室で、中間テストの為に勉強してるだけなのに。特に数学なんて死ぬほど嫌いなのに、大輝と一緒なだけで、特別な時間に変わってしまうみたいだ。 大輝が自分のルーズリーフを1枚出して、さらさらとグラフと数式を書きながら説明してくれる。 マジすげえ。大輝は、バスケも料理も勉強も、たいていのことはさらっとできてしまう。 未だに信じられない。こんなすげえ奴が、俺の、その…彼氏だなんて。

ともだちにシェアしよう!