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恋人編 第2話-3

「悠斗?」 大輝がしゃがんで顔を覗き込む。見るなよ、俺、今いったいどんな顔してんだか… 「…ごめん、嫌だった?」 大輝は心配そうに、俺の顔を覗き込む。俺は、首を振って、大輝の右胸に顔を埋めた。 大輝の匂いがする…。 おずおずと、大輝の背中に手を回す。そっと力を入れると、大輝の身体が一瞬ビクッと反応した。そうしてぎゅっと強く、強く抱きしめられる。 身体がより密着して、俺は気づく。大輝の身体が、僅かだが震えてることに。 …ああ、そうか。 自分の気持ちに振り回されて、全然気がつかなかった。 緊張したりドキドキしたり、嫌われないか心配したりしてるのは、俺だけじゃない。 おまえも同じなんだな、大輝。 「なあ、大輝。恋人同士ですること、一緒に勉強するんだろ。 正直さ、俺、男同士のそーゆうのなんて全然分かんねーし、不安がないって言ったら嘘になるし。でもさ…」 大輝の胸の中で、俺は言う。 「おまえのこと、全部知りたい。教えて、大輝」

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