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恋人編 第3話-2

「悠斗、おはよう」 靴箱にスニーカーを入れてる時に聞こえた、低くて優しい声。 「おはよ、大輝」 「悠斗も朝練?サッカー部、今週末が第1試合でしょ?練習も気合い入ってるね」 学校のまわりを走っていたのか、大輝はバスケ部のジャージのままだ。今から着替えに行くんだろう。 「なあ大輝、地区予選が終わったら、ちょっと時間取れない?話があって」 「いいけど…学校じゃできない話?」 「うん、その……俺たち、のことで」 人目が気になって、後半は声が小さくなってしまう。 バスケ部は、去年、地区予選でベスト4まで勝ち上がっている。順調に勝ち上がれば、6月中旬までは忙しいはずだ。 しかも話題が話題だから、『おまえどうしたい?挿れたい?挿れられたい?』なんて学校で聞けるわけがない。電話で聞くのも、LINEで聞くのもなんか違う。 恥ずかしいけど、大輝と直接向かい合って、ちゃんと聞きたい。 大輝は、何故か少しだけ無表情になったが、すぐに笑顔に戻って、了承してくれた。

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