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第9話-3

高校1年生の時。あの昭和のヤンキー漫画に影響を受けまくったオレは、主人公と同じ格好で街へと繰り出す。 「喧嘩上等」と刺繍された長い丈の学ラン。髪をガチガチに固めてリーゼントにし、風をきって街を闊歩した。 しかし、オレの地元は、コンビニより精米所の方が多いような、のどかな田舎の街だ。当然、不良同士の抗争など起きるはずもない。 オレがしたことといえば、泣いている子どもを迷子センターへ連れていったり、おじいちゃんの手を引いて横断歩道を渡ったり、いじめられてるやつを助けたりしたくらいで… ん?もしかして… 瀬戸はオレの目を見て、真剣な顔で言う。 「助けられてんだよ、俺は。 高校1年生のあの時、いじめられてた俺を助けてくれたのは、竜司、おまえなんだよ」

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