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第14話-2
オレの左側のほおに、ゴツいシルバーの指輪をつけた拳が当たる。
口の中で感じる血の味。
間髪入れず、もうひとりが、オレの髪を掴んでお腹に膝で蹴りを入れる。オレが呻いて、お腹を押さえてしゃがみこむと、今度は右側のほおに、革靴で蹴りが入る。かかとをねじり込むようにして、背中を踏まれる。耳障りな嘲笑が聞こえる。
…反撃なんかするかよ。
瀬戸がどんな気持ちで、オレを守ろうとしてくれたと思ってんだ。おまえらの思い通りになんか、なってたまるかよ。
ここでおまえらを足止めする。絶対におまえらを、瀬戸のところには行かせない。どんなに殴られても、蹴られても!
「おい!君たち、何してる!」
警察官だ!瀬戸が呼んでくれたのか。
「…ちっ!」
逃走するふたり。
…良かった。安心したオレは、冷たいアスファルトの道路に倒れこんでしまった。
「竜司!」
瀬戸が走ってくる。その姿を目の端に捉えたオレは、口に溜まった血を吐き出し、お腹を押さえてゆっくり立ち上がる。あまりの痛みに、片目しか開けられない。でも、片目で充分だ。
オレは近づいてくる瀬戸に、崩れ落ちるように倒れながら、両手を広げて抱きついた。
勢いあまって瀬戸がしりもちをつく。
オレは瀬戸の頭を抱え、切れて血の滲む唇を、瀬戸の唇に押し付け、キスをした。
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