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第8話
今日、珍しいお客が来たよ。
キミのペットだ。
キミに捨てられた事に気付かず、キミを探しに来たみたいだね。
本当、忠実なペットだよ。
その忠実さに免じてキミに会わせてあげることにした。
キミの本当の姿を見せてあげたら、凄く驚いていたみたいだけどね。
しかし。
あのペットの提案には、ボクも驚いたよ。
本当はキミの方からボクに提案してくるはずだったのに。
まさかペットの方から言ってくるなんてね。
でも、逃げない玩具。
その言葉はボクにとって魅力的に聞こえた。
ボクの玩具は昔から君だけだった。
だが、キミは逃げていく。
ボクの元から。
今日のキミは最高だったよ。
最高に可愛かった。
本当、残念だよ。
キミを手離さないといけないなんて。
でも、ボクは逃げない玩具が欲しいんだ。
ボクだけの玩具が。
キミの元ペットだけあって躾も行き届いているし、泣き顔も最高だった。
なにより自分からボクの玩具になるという。
キミだって元々、ボクにくれるつもりだったんだろう?
自分の自由と引き換えに。
どういうわけか、途中で気が変わったみたいだけどね。
いいよ。
貰ってあげる。
キミの自由と引き換えに。
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