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幼馴染み⑥

一瞬、理解できなかった。 なんて?今、なんて言った? 稲 垣 に 彼 女 が で き た 半開きだった瞳をカッと見開き、俺は勢いよく立ち上がり、高田の両肩を掴んで揺すった。 「は?何、それ?…え?冗談だろ?」 俺の勢いに、高田も細い目を見開いて驚きを隠さない。 「え?知らない?2週間くらい前から3組の山下莉子と付き合ってるって噂だぜ?」 お前、稲垣と仲良いのに。 高田の言葉が耳をすり抜けていく。 2週間くらい前って、俺を避け始めた頃で。 毎日の登下校が別になった。 お昼もいなくなって… あれ?…あれれれれ? 目の前が真っ暗になっていく。 心臓の音がやけに身体中に響く。 あれ?優時って、俺の事が好き…じゃない? 「…楓?大丈夫かよ。顔色悪すぎる」 大丈夫…か?俺。 ヤバい。泣きそうだ。 高田の肩を掴んでた手を離し、俺は再び机に突っ伏した。 「楓?…保健室行く?」 「…いい。だいじょぶ」 「なに基準で大丈夫なの。やばいって」 ほら、立って と、腕を掴まれた俺は無理やり立たされて教室を後にする。 高田はほんとにお節介だ。 「あ、稲垣と山下莉子」 教室を出てすぐに、2人の姿を目にした。 高田のおかげで俺は山下莉子の存在を初めて認識した。 肩くらいのサラサラ黒髪に、大きな瞳。華奢なその子は優時の隣で頬をピンクに染めて嬉しそうに微笑んでいる。 めちゃくちゃ可愛い。 なんで俺、あんな可愛い子今まで気づかなかったんだろう。 …なんで、優時は男の俺の事が好きだって思ってたんだろう。 胸が張り裂けそうに痛い。

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