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幼馴染み⑰
「…怖くて。楓が好きなのに、気持ち伝えて隣にいられなくなるのが怖くてさ。でも、抑えられなくて…キスしたらお前、なんだかすんなり受け入れるし」
「……」
…だって、気持ちいいんだもん。
「…この唇も」
優時の指が俺の唇に触れる。
「キスした時の可愛い顔も、誰にも見せたくなかった。俺だけのものにしたかった」
その指を、なんとなしに噛んでみた。
「…ばか」
ふわっと笑って、優時は指を抜くと俺の上唇を甘く噛んだ。
ぺろんっと、舐めて離れていく。
「…山下莉子は?」
自分で言って喉が、乾いた音を立てた。
「山下?」
「…付き合ってるって、高田が言ってた」
「…あぁ、だからお前…」
優時は何やら1人納得したように頷いた。
「…楓、俺から離れようと思ったろう?」
「え?」
「コンパ。確かに、俺たち付き合ってなかったから俺に言えたことじゃないんだけど」
「や、違うっ!あれは、だから、高田たちが勝手にー」
「俺、正直ショックで。いや、コンパに行ったって事より、俺は楓を繋ぎ止められる確実なモノが無かったんだなって」
優時の大きな手が俺の頭を撫でる。
「どうすれば楓を繋ぎ止められるか、そればっかり考えてた」
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