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第20話

猇の作ってくれたご飯を食べ終えた波留達は車でとある場所へと向かっていた (猇のご飯美味しかったな……) 食事を交えて交流の深まった波留は後部座席に乗りながら満足げな表情でそんな事を思う 運転席には猇が助手席には清が乗っており二人でカーナビをいじっては何やら言い争っている (本当に仲良いな、この人達) 食事中も漫才の如く何度も繰り広げられ、波留はそんな姿をすっかり見慣れてしまった 「じゃあ、行こうか」 苦笑していると不意に清が振り返り勝ち誇ったような笑顔で波留に言う 「…行くって…どこに?」 「波留を組に置く上で許可が必要な人のところ」 (許可が必要な人?) 清の言葉に猇がハンドルをきりだし車が走り出す *** 少し走り、車内のBGMや2人の話し声を聞いていると信号で車が停止し、何かを思い出したのか清が後ろを振り向きある物を渡してくる 「……あ、そうだ。これ、波留の鞄」 渡してきたのは昨日波留が肩から下げていたショルダーバックだった 「すっかり忘れてた。てか、戻ってこないかと思ってた…」 少し身を乗り出して清から受け取ると中身がきちんと入っていることを確認する 「これはきちんと回収しておきましたから心配はご無用です」 ピースをしながら得意げな笑顔を見せる清にアクセルを踏んだ猇が揶揄うように波留を脅す 「こいつに、中取られてるしてるかもしれないぞ」 「えっ!」 まさかと思いながらも波留は清の顔をちらりと見るともう一度カバンの中を確認した 「ちよっと波留くん〜。俺そこまで最低なやつじゃないからね」 不満そうに頬を膨らまして波留を見つめる清とさらに煽る猇 「へー。昨日のお前は最低だったけどな」 「あ、さすがの忍耐強い俺でのカッチーンてきたかも。えいっ」 猇に向かって清がそう言うと助手席から身を乗り出し猇の握るハンドルを手前にグイッと軽く引いた 車体が左右に揺れ車線からはみ出し、それを急いで修正する猇が焦り大声で清を叱る 「アホか!運転中だ馬鹿!」 「猇が悪いんだろー。車がいないことは確認してるしんな焦んなよ〜」 流石にそこまでされると思っていなかったのか猇自身も相当驚いたらしく事故していない事に安堵の表情を見せる そんな彼の横で清は少し口を尖らしながら腕を組んでいる 「……ふふっ」 目の前で繰り広げられる光景に波留は思わず声を殺しながら笑ってしまう 「何笑ってるのさー。波留」 バックミラー越しに清に注意され波留は謝りながら笑ってしまった訳を話す 「ごめんね。だって2人って本当に仲が良いんだなって思ったら面白くって…」 目に涙を浮かべながら言う波留を2人は見ると、互いに顔を顰めて否定し合う 「仲良いって俺等」 「ありえねぇだろ、お前とは」 「えーん、先生ー猇くんが仲良くしてくれませーん」 「きめぇから今すぐやめろ」 波留達は車内でそんな事を話しながら目的地へと車を走らせるのだった

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