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幼馴染でセンター試験 のつづき
家について拓斗をほとんど背負うようにして部屋に連れていく。ベッドに寝かせ制服を脱がせる。少し前まで俺たちは同じような体型で、俺でも拓斗を軽く持ち上げる事が出来ていたというのに、今ではもう拓斗を抱え上げるのが難しくなっていた。背が高いし、筋肉もついた。育ちが悪い俺としてはちょっと悔しい。
「拓斗、熱計っとけ」
体温計を拓斗の口に突っ込んでおでこに冷却シートを張る。電子音が鳴り、体温計を抜き取る。
「……37.5度。微熱、よりちょっと上かな」
拓斗は平熱が低めなので高めに勘案する。お湯で溶かすタイプの風邪薬を飲ませて布団をかける。ベッドを離れようとした俺の服の裾を拓斗が握った。
「どうした、拓斗?」
「……そい寝して」
病気の時の、いつもの拓斗の甘えん坊が始まった。俺は笑って拓斗の頭を撫でた。
拓斗が眠ってしまって、俺はそっとベッドを抜け出す。りんごジュースを買っておいてやらなくてはいけない。そーっと身支度をして、そーっと部屋を出た。外に出てみると、いつの間にか雪が降りだしていて、塀や木の上にうっすらと雪が積もりはじめていた。
ドラッグストアで飲料や食物を買い込んで家に戻っていく間にも雪は降りつづけ、家のドアを開けた頃には1センチほど雪が積もっていた。
荷物を台所に放り込むと、外に出て小さな小さな雪だるまを作る。それを急いで冷凍庫にしまった。
部屋を覗くと拓斗はまだすやすやと寝ていた。風邪薬がよく効いているのだろう。幾分、顔に赤みが戻っていた。俺はそっと部屋に入ると、机に向かって本試験のための勉強を始めた。
「……春樹」
一時間ほどして拓斗に呼ばれて振り向くと、拓斗はこちらに顔を向けていた。
「拓斗、大丈夫か。水飲むか」
「りんごジュース」
「ん。待ってろ」
常温のままのりんごジュース(と言っても台所は猛烈に寒いんだからジュースもかなり冷えている)と、冷凍庫の雪だるまを取って部屋に戻る。
「ほら、こぼさずに飲めよ」
「飲ませて」
俺は拓斗のおでこに雪だるまを乗せた。拓斗がそっと雪だるまに触れる。
「どうしたの、これ?」
「外、雪なんだよ。お前雪すきだろ?」
「うん。大好き」
俺は準備してきていた吸い飲みにりんごジュースを注ごうとした。
「口移しして」
「そう言うと思ったよ」
俺はかるく笑うと、りんごジュースを口に含んでそっと拓斗の唇に触れた。拓斗は俺の唇に吸いつくと、りんごジュースを飲みほし、俺の口中を舌でまさぐった。
「んんんー!!」
拓斗に抱きしめられた体勢をなんとか立て直そうとしたけれど、拓斗は俺の首を抱え込んで離さない。押しあいへしあいしているうちに、俺はベッドに押し倒された。俺の腹に馬乗りになった拓斗がセーターを脱ぐ。
「ちょ、まっ、拓斗! 何してるんだよ!」
「きみを襲おうとしています」
「お前、熱あるんだぞ。悪化させてどうする?」
「汗をかいて治します」
「おーい。大人しく寝てろ。りんごジュース飲め」
「うん。飲む」
拓斗は俺のシャツを脱がせて、そのシャツで俺の両手を縛りつけた。
「おーい。拓斗さん?」
「動かないでね、零れるから」
拓斗は俺の胸に少量のりんごジュースを落とすと、舌で舐めとる。
「やめろー。普通に飲めー」
「いやです」
一応、抵抗してみた俺の言葉は、案の定、拓斗に一蹴された。拓斗はたらりたらりとりんごジュースをこぼし、ぺろりぺろりと胸を舐めていく。
「ん……ふ」
俺は少しずつ立ち上がり、拓斗の腿にそれは押しつけられる。拓斗は俺の腹に、腰にとジュースをこぼす場所を変えていく。
「んっ、たくと、もうやめて……」
「だめ。もっと飲む」
拓斗は俺のものにつーっとりんごジュースを垂らす。
「やっあ、ん」
小さな水滴が根元まで這い、拓斗がそれを根元から先の方まで舐めとる。
「はあああん!」
俺はびくびくと震え、俺のものから液体が滲む。拓斗はジュースを垂らしては舐め、舐めては垂らすを繰り返した。俺は拓斗を止めたいのに、両手を縛られ抵抗できない。
「あっあん! いや、拓斗、もういやあ」
「うん。もうジュースなくなっちゃったよ」
俺はほっと息を吐く。
「でも、こっちが飲みごろ」
拓斗が俺のものをぱくりと咥えた。
「ひやああん!」
待っていた強い刺激に、俺のものから液体が飛び出し、拓斗は美味しそうにこくこくと飲みほした。
「おかわり」
舌なめずりしながら言う拓斗の顔はいつもと違って上気して、俺をみおろして俺を食べつくしてしまいそうだった。
「あ、待って、たくと、まだまって……」
俺の懇願は聞きいれられず、拓斗はまた俺のものを口に含むと強く吸い上げた。達したばかりのところにその刺激は強すぎた。
「うああん! やだあ!」
拓斗の指が俺の後ろをほぐし、体内に侵入する。ゆっくりゆっくりと抽送しながら、拓斗の舌はころころと俺のものを転がす。
「はぁん……、ん、ああ、もういやあ」
拓斗は口を離すと、俺の胸のものをべろりと舐め上げた。
「ひや!」
「もういや、じゃないでしょ。なんて言うの?」
拓斗が俺のものの根元を強く掴んだまま、先端を舐める。
「あ! やだ、やだあ!」
拓斗の舌は先端の窪みをちろちろと舐め続ける。拓斗の指は、俺の良いところをなぞりつづける。
「なんて言うの?」
「ん! もう、もう……」
「もう?」
「いれてぇ、拓斗の、ちょうだい……」
拓斗は俺にキスすると俺の足を抱え込み、一気に突き入ってきた。
「ああああ!」
俺のものから勢いよく白い液体が撥ね跳ぶ。拓斗は顔についたそれをぺろりと舐めた。
「ふああぁん! たくとお!」
「春樹、春樹、春樹」
拓斗はうわごとのように囁きながら腰を揺する。俺は縛られた両手を拓斗の首に回し、ぎゅっと抱きよせる。
「そんなにしたら動けないよ、春樹」
「んんん! いいからあ! ちかくにいてぇ」
拓斗はキスをくれると、俺の足を離しゆっくりゆっくりと腰をすすめた。
「はう、んあん、はぁっ」
拓斗の律動に合わせて俺の口から小さな声が漏れる。その声を、拓斗の唇が塞ぐ。俺は拓斗の舌を絡め取り、強く噛む。その衝撃で拓斗は俺の中に放った。
「あああ! ひあん! たくとお!」
後ろに熱いものを感じ、拓斗の体に挟まれ俺も精を吐き出した。
「春樹……」
拓斗は動きを止め、俺の手の戒めを解く。
「ん、たくとぉ」
俺は甘えた声を上げ拓斗の頭を抱きしめキスをねだる。拓斗は俺の唇をゆっくり舐め、唇をマッサージするように小刻みにゆるやかに動く。
「ん、んんん……」
鼻声でもっともっととねだると、拓斗は俺の舌を吸いだし口中を舐めた。口の中が拓斗でいっぱいになる。幸せがそこから全身へ回り、俺はまた立ち上がる。拓斗はキスを続けながら俺のものを握りしめる。俺は思わず拓斗の口から離れ、大きく息を吐く。拓斗は俺を追って唇に噛みつく。
息ができない。
苦しさの中に快感がやってくる。
俺は拓斗の手の中に精を吐き出した。
拓斗はそれも舐めとる。
「たくと……、もっとなめて……」
拓斗は俺のものを口に含んで軽く歯をたてる。
「んっあああ! たくとお! あぁ! いいよお」
俺は背をのけぞらせ拓斗の口に自身のものを押し付ける。拓斗は吸い上げながら歯で刺激をくれ、俺はすぐにまた達しそうになった。拓斗が俺の根元を握る。
「やぁ、たくとお、なんでぇ?」
俺は首を押さえられたような苦しさになみだをぽろぽろとこぼした。
「僕にもご褒美ちょうだい?」
拓斗はにっこりとほほ笑むと、俺の中に入ってきた。俺の体がびくりと跳ねる。
「君が苦しむ姿を見たい」
拓斗は真上から俺を見下ろす。その瞳はぞっとするほど冷たくて、ぞっとするほど飢えていた。
「やああん! いやああ!」
拓斗は俺の奥へ奥へ奥へと深く突き進む。いつもよりずっと猛々しい拓斗に良いところを擦られ、奥まで貫かれ、俺はもう限界を超えていた。
「たくと、もうゆるしてぇ……、もうだめぇ」
拓斗は俺の声など聞こえていないように、腰を動かし続ける。その目は俺を観察し続けていた。ぼろぼろ流れる俺の涙を、半開きのまま涎を垂らす口元を、拓斗だけを見つめるこの瞳を。拓斗は俺のすべてを、俺だけを見ていた。
拓斗が俺の唇に噛みつく。俺は自ら拓斗の舌に舌を絡める。もう、どうなってもいい。拓斗が俺の中にいるのなら、俺はどうなってもいい。
「たくと、たくとぉ」
拓斗はにっこりと笑うと、突然俺のものから手を離した。そして大きく突き入れる。拓斗のものから熱いものが迸り、俺は拓斗の腹に向かって果てた。
ぼんやりと目を這わす。拓斗が俺の上で息を乱している。俺は拓斗の頬を包むと、軽く口づけた。
「……はるき?」
「たくと、好きだ」
拓斗は俺を抱きしめて首筋に顔をうずめた。俺の首に暖かいものがながれた。拓斗はどうやら泣いているらしい。俺はぎゅっと拓斗を抱きしめた。
枕元、小さな雪だるまは拓斗の涙と混ざって融けていった。
拓斗の熱は39度まであがった。まあ、そうだろう。
俺は拓斗の枕元にりんごジュースを運び、それを口移ししてやり、それでも風邪ひとつひかず毎日勉学にいそしんだ。
おかげで本試験は万全のコンディションで迎えることができた。俺史上最高の学力で闘い、もう悔いは一片もない。あとは静かに合格発表を待つだけだ。
その前に、とても、とても大きなイベントがある。
明日は3月1日。卒業式だ。
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