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再会
ヤバイ!ヤバイってもう……
ロウの奴……調子に乗って!
そう思うのに、顔が人間化したロウの色男っぷりに翻弄されてしまう。
俺の乳首を舌先で擦ったり舐めたり……更には唇で乳首を挟み込み、引っ張るようにちゅうちゅう吸ったりと……狼の顔の時にはしなかった動きを仕掛けてくるもんだから、俺の下半身もジンジンしてしまうじゃないか。
「ちょっと……吸うことに徹しろよ。いっ今は授乳の時間だろ!」
草むらに組み敷かれ……必死にもがく俺のことを、ロウは甘い笑顔で見下ろして来た。そして熱心にアレを勧めた。
こんな野外で押し倒され乳を吸われるのだけでも猛烈に破廉恥なことなのに……誰もいないと分かっていても、つい周りを気にしてしまうよ。
でも……心も躰もどんどん、もっていかれる。ロウ、お前って奴はいつの間に、そんな技を……もうっ上手すぎるだろう!
「あっ……うっ……ん」
次第に自分からも信じられない程甘く感じている声をあげてしまう。
相変わらずもう片方の乳首にはトイがくっついていて、チュッチュッとうっすら額に汗をかきながら必死に吸っているのに、ロウに吸われている方の乳の刺激だけで、こんなに性的興奮を煽られるなんて!
「はぁ……」
「さぁトカプチも飲めよ」
「んっいやっ、家でもらうよ」
「いいから、今飲め。ほらっ」
ロウが腰をずらし、俺の口元に股間をずずっと近づけて来た。
完獣の時より、人型に近くなったそれは……それでもまだ充分大きくて、しかもパンパンになっていた。もう雫が漏れている。甘い香りに誘惑される。猛烈に腹が空いて来た。
もう口を開ければ……すぐにアレが飲める距離だ。
「もう……しょうがない奴だな」
結局あっという間に誘惑に負けて、俺は口を物欲しそうに、まるで雛鳥が餌をもらうようにアーンと開けた。
ポタっ……ピシャ……
すぐに俺にとって『命の糧』となる白い液体が迸る。
それを喉奥で味わいゴックンと飲み込んだ瞬間に、美味しさに酔う間もなくとんでもない事が起きた。俺達を隠すように茂っていた背の高い草が、突然ガサガサっと大きく揺れたんだ!
「なっ何!誰だ?」
勢いよく飛び込んで来たのは人間だった。しかも俺の名を呼んでいる!
「トカプチ!無事なの?」
え……
思考回路が見事に緊急停止した。
こ……この声は……だって……まさか……
俺は慌てて飛び起きた。ロウの方も驚いて、トイを抱え大きく一歩退いた。
「まさか……母さん?母さんなの」
そのまま飛び込んで来た人の胸にぎゅうっと抱かれたので、顔が見えない。でも分かる。この匂いは俺の母さんだ!懐かしい女性の柔らかい躰に、包まれていた。
なんで……なんでここに?
「トカプチ!無事で良かった」
「母さん、母さん……会いたかった」
うわぁ……さっきまでしていたこと見られちゃったよな。と頭の片隅で少しだけ思ったけれども、それよりも再会の感動の方が強かった。
「あなたに会いにきたの。お父さんも一緒よ。サク、サクも早くこちらへ」
「あぁ……お父さん……」
口に出せば、涙も連動しているようでボロボロと零れた。
強く凛々しいお父さんと、俺には滅法弱い……優しい優しい母さんだ。
俺を探して……俺に会いに?
あ……そうか、きっとこれはロウのお陰だ。お前が手紙を届けてくれたからだ。
「ロウ……ロウどこだ?ここに来てくれ。お前を両親に紹介したい!」
「……トカプチ」
ロウの声を追い、目で探した。
すると草むらの向こうに寂し気なロウの顔が見え隠れしていた。トイを抱っこして、まるで群れからはぐれた子供みたいに不安な顔をしている。あんなに自信満々に俺を攫ったくせに、今のロウの眼は明らかに怯えていた。
「大丈夫だ。ちゃんと分かってもらえる。俺の父さんと母さんなのだから、心配するな」
母さんの眼は涙で濡れ、父さんも眼の端が濡れていた。そんな両親にきちんとロウとこうなった事情を話したい。そしてロウを深く理解して欲しい。受け入れて欲しい。あなた達の孫になるトイのことも紹介したい。
「父さん、母さん……何も言わずに消えてごめんなさい。晒しに書いた俺の手紙を読んでくれたんだね」
「そうよ。ロウというのよね?あなたの番は……彼が決死の想いで届けてくれた手紙を読んで……だから会いに来たの。あなた達に会いたくて!まったくこの子はいつの間に……いつまでも子供だと思っていたのに、可愛い赤ちゃんまで産んで……」
「母さん……ごめんよ。何もかもちゃんと話すよ。ロウと息子のトイのことも……だから、まずは俺達の家に」
「そうね。ここじゃ落ち着かないわ」
俺達の住処に両親を案内することにした。ロウも警戒しながら一歩下がり、トイと抱っこしてついてくる。そんなロウの横に父さんがすっと並び、何か話しかけた。
ロウと父さんどっちもカッコいいな。あとで何を話したか聞きたい。
道すがら……母さんが、そっと俺に聞いて来た。
「あのねトカプチ……母さんの見間違いじゃなければ……さっきの、その……」
「えっ?あぁぁ……もしかして……やっぱり見ちゃった?」
「……えぇ……バッチリ……」
見ちゃったというのは、やっぱりロウのアレを飲むところだよな。そう思うと猛烈に顔が火照ったけれども、ちゃんと説明したい。
あれは俺にとって……
「母さん……驚かせてごめんなさい。変なところ見せちゃったよね。でもアレは俺にとって『命の糧』なんだ。俺とロウが互いに必要としあって生きている証だ」
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