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後日談『二人の食事風景』

 両親と再会した夜、突然ロウが宣言した。 「トカプチ、今日はオレの隣で寝なくていい。お母さん達と寝ろ」 「えっなんでだよ」 「久しぶりの再会だ。積もる話もあるだろう」 「それはそうだけど……」 「オレはトイと外で眠るから」 「え?」 「外も気持ちいいぞ。もう寒くないし……ハンモックをこの前設置しただろう。あそこで眠るから気にするな」 「でも……」  確かに俺たちの住居の岩穴は原始的な作りで一間しかなく、毛皮のラグを敷いた上に藁を乗せただけの簡易ベッドがあるだけだ。両親にはもちろんこの岩穴の中に泊ってもらうつもりだったが……  躊躇していると、突然トイを胸にギュッと押し付けられた。 「さぁトイに今のうちにたっぷりミルクをやっておけ。そうすれば朝までぐっすり眠るだろう。さぁ胸を早く開け」 「う……うん、でも……」  なんだか両親の近くで授乳するのが恥ずかしくて戸惑ってしまう。すると父さんと母さんはそんな空気を察っし「少し外の空気を吸ってくる」と言って出て行ってしまった。  そんな風に気を遣われると、ますます恥ずかしいもんだな。 「分かったよ。ほら……」  自分で胸元を寛がせてトイが乳首に吸いつきやすいように、潔く露わにしてやった。 「いい色をしている。そそられるな」  すると何故かトイよりも先に、ロウが俺の乳首をチュッと吸ってきた。 「えっ?わ!」 「暴れるなトカプチ。オレにもちゃんと与えておかないと、後で夜這いしてしまうぞ」 「ば……馬鹿!」  さっきは外で押し倒され、今度は岩場で押し倒される。強引なロウに抗う術はないのか。でもロウの舌が俺の胸の尖りを掠めると、俺の方だって胸の奥がむずむずとしてしまう。その衝動に誘われるようにじわじわと乳白色の汁が乳首の先端から滴り落ちてくるのを、すかさずロウが長い舌で搾り取っていく。 「んんっ」 「あぁ今日は一段と美味しいな。トカプチが両親と会えてほっとしたからなのか、甘くてとても落ち着く味になっているぞ」  続いてロウの手が俺の下半身に遠慮なく伸びてくる。 「ん……よせよ。確かにホッとしたけど、今は冷や冷やしているよ。こんなシーン、何度も親に見せるもんじゃない」 「いいから、もっと出してトイにもやらないと」 「あぁそうか……トイおいで」 「あぶぶぅ」  トイがヨチヨチ歩きで近寄ってきて、乳のにおいをかいだ途端転がるように飛びついてきた。そして小さな口を精一杯あけてハムっと乳首を口に含んだ。 「わっトイも強引だな~」  見下ろせば可愛い耳と尻尾が、ゆさゆさと揺れている。少し毛が伸びたから切ってやらないとな……半獣の姿のトイ。俺とロウの愛の結晶は何と愛おしい存在なのか。不思議なことに、人より成長が早いから、きっとあっという間に大きくなってしまうな。いつまでも小さいままでいて欲しいような気もして、少しだけ寂しいよ。 「なぁロウ……トイは将来どんな男になると思う?もしかして俺みたいにトイの胸からも乳が出たらどうしよう」 「さぁどうだろうな。でも……きっとなるようになるさ。どんな姿でもオレたちの大切な息子だから大丈夫だ」 「あぁ俺の両親が全て受け入れてくれたように、俺たちも受け入れてやろうな」 「その通りだ。さぁ次はトカプチの番だぞ。今度はお前の夕食だから沢山飲んでおけよ」  俺の手はロウの股間に誘われ……ロウの手が俺の股間にやってくる。そのまま扱きあって、お互いのものが硬く大きくなるまで高め合っていく。 「ふっ……トカプチはまだまだ未熟だな。ここがこんなに張り詰めても、まだ小さくて可愛いままだ」 「う……うるさい……そんな、あうっ」  俺の乳を潤滑剤として蕾を濡らされる。そんなことしなくても俺の後孔からはオメガ特有のぬめりで既に溢れているのに…… 「挿れるぞ」 「あ……んんっー」 ロウの大きくなったものをズシンっと穿たれたので、外に声が零れないように慌てて口を自分の手で押さえた。 「あっ……うっ……う」 「んっ……いいな。今日は一段と締まって最高だ」  やがて一度中で出された。それはそれで躰の奥深くから栄養を吸収するようで満ち足りた気分になるが、やっぱり俺も口から摂取したくなって、ひな鳥のように口をパクパクと開けて待つと、そこに白濁の液体をたっぷりと注がれた。 「可愛いオレのトカプチ」  生暖かく仄かに俺の乳とロウの精液がまじりあった匂いと極上の味がした。こんな嗜好、味覚、誰にも理解されなくてもいい。これが俺にとって最高のご馳走なのだから。 「あぶぶ……」  気が付けばトイが口の周りをミルクで汚したまま、気持ちよさそうに胸元で眠っていた。  すやすやとした安定した寝息にほっとする。いい夢をトイ。  俺たちはいつものように営みあって、十分食事を取ることができた。  これが俺たちのいつもの食卓……食事風景だ。 **** 少し駆け足で終わってしまったような気持ちだったので、おまけの後日談を追加しました。 他の連載が落ち着いたら、更なる続編も予定しています。    

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