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麗の首に手を当てたり、瞼をめくったり、聴診器を当てたりして一通りの診察を終えた山瀬は獅琉を見上げて一言だけ告げた。
「病気の心配はなさそうだけど、またいつもみたいに食べてないのかな?睡眠も足りてないみたいだし疲れが溜まってるね。」
「そうか。」
大体予想はついていた。今の麗は流石に痩せすぎだ。
麗は診察されている間から、ずっと不安そうに山瀬を見つめていた。
「やませさん...、」
「ん?あー、麗くん。いつもみたいに疲れてるみたいだから、ちょっとだけ我慢してね?本当にちょっとだけだから。」
山瀬が言いにくそうに放ったその言葉で全てを察した麗は、再び涙を浮かべ始めた。
「やぁっ!いたいのしないっていったもん...!!」
「でもこのままだと、麗くんも辛いよ?...獅琉、頼んだよ。」
山瀬は麗を宥めるのを獅琉に任せて点滴の準備を始める。
「ふぅっぇ...やぁ...ううっ...ひっく...」
腕の中の麗は本格的に泣き出してしまっていた。
「麗、泣くな。可愛い顔が台無しだぞ?」
いつもなら獅琉の可愛いと言われると喜ぶ麗だが、今は喜ぶどころか涙が止まることもない。
「うぁっぅ...ふぅっ...しぃっ...ふぇえっ...」
背中を摩ったり、綿菓子のような髪を撫でたりしてみるが麗は一向に泣きやむ気配がない。
「れーい?泣くな〜」
泣きやまねーなぁー
でも、点滴はさせないとな...
「山瀬、俺が麗の腕抑えてるからその間に済ませろ。」
「はーい、結局いつもこうなっちゃうね~。だから僕、麗くんに嫌われちゃうんだよ〜。」
「いいからさっさとしろ。失敗したら殺す。」
「分かってるよ。一回で成功させるよ〜。」
獅琉は無言で麗の細く白い腕を掴んでシャツの袖を捲って山瀬の方に差し出す。
「いやぁっ!!...やだああ...うぅっ...ひぅっ...」
麗は嫌だと暴れるが、麗が暴れたところで獅琉の腕が離れる訳もなく、その間に山瀬が麗の腕に針を刺し、包帯で固定してずれないようにする。
針から伸びている管と点滴の袋を繋いで作業は終了。
「はい、終わったよ。麗くん頑張ったね〜。」
山瀬は笑顔で麗を褒めるが、当の本人は泣き叫んでいた。
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