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「うん、とりあえずは大丈夫そう、呼吸も落ち着いてるし。可哀想に...少し目が腫れてるけど...。それで?どうしてこんなことになったの?」 麗の診察を一通り終えた山瀬が、くるりと獅琉を振り返る。その目を見ることはできなくて、自然と俯いてしまう。 「...別に。」 「...僕、最初に言ったよね。覚悟がないと人は育てられないって。最近の獅琉、麗くんのことちゃんと見えてないんじゃない?」 「どう言う意味だよ?」 「そのまんまの意味だけど。それで、どうして麗くんは過呼吸になるまで泣いたの?」 「...少し、これからのことを話した。」 「へぇ?何て言ったの?」 「麗が出ていきたくなったらいつでも自由に出て行っていい、って」 「それを、麗くんに言ったの?正気?君は本っ当に馬鹿だね。」 「...」 「部屋の外で少し話そう。麗くんを起こしてしまったら可哀想だから。」 2人は部屋から出て客間へと移動する。 その途中、柚木と廊下ですれ違った。 「若、どうかなさいましたか?」 言葉もなく歩く2人に、不思議そうにそう尋ねた柚木。きっと言外に、麗はどうしているのかとも聞いている。 獅琉は柚木に人払いをするようだけ伝えて、部屋に入った。 「で。なんだ、話って。」 部屋に着くなり獅琉がそう言った獅琉に、山瀬は食ってかかる。 「何じゃねーだろ」 「口調が素に戻ってる。」 「今はそういうことはいいんだよ。それより、お前何で麗くんにそんなこと言ったんだよ!」 「そんなことって...」 「出て行けって言ったんだろ」 「は?俺はそんな事言ってねーよ」 「麗くんはそうは思わなかったみたいだけどな?じゃなきゃあんなに泣かない。」 「...っ」 「何でそんな事言ったんだよ」 「...麗は、ここにいない方が幸せだろ」 「麗くんがそう言ったのかよ?」 「いや、でも普通に考えてあんな部屋に閉じ込められて外の世界を何も知らない...っそんなの...幸せになれない」 「で?」 「だからっ...麗のしたいようにさせようと思って」 「麗くんのしたいように、ね...」

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