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「あ、俺の名前は秀人(シュウト)。シュウって呼んでいいぞ」 「シュウ...」 秀人と名乗った男に抱かれたまま、教えられた名前を呟く。秀人は満足そうに笑って首を傾げた。 「ん。それでお前、誰についてきたんだ?一人でこの家歩くのはちとあぶねーだろ?なあ?」 「...」 「答えろよ、黙ってちゃ分かんねぇだろ。でもこんな綺麗な顔立ちしてる奴はうちにはいないからな...誰かの子ども?いや…まさかそれはねえよな?」 「んん...」 獅琉の普段の様子を見ていて、なんとなく偉い立場にいるだろうなというのは感じていた。だから獅琉の名前を言うと連れ戻されるかもしれない。だけど咄嗟に誰かの名前も思い浮かばない。 麗が質問に答えられずにいると、秀人は口を引き結んで黙り込んだ。それから、小さな溜め息を1つ。 「...んー、困ったな...柚木さんのところに連れていってみるか...俺だけじゃどうにもできないし。」 「...っ!...だ、だめっ」 「は?何で?柚木さんのこと知ってんのか?」 「ぅ...えっと...ん...」 ユズのところに連れていかれたら絶対しーが来ちゃう...! 「も...いいっ...おりる...っ!」 「あっこら暴れんな!」 秀人の腕の中で下りようと藻掻くが、逞しい腕がそれを許してはくれない。 「いや...っ!はなして...!」 「馬鹿!落ちるぞ!」 「やだ、ぼく…いかなきゃっ」 「行くってどこにだよっ」 秀人と揉めていると、突然廊下の向こうから聞き慣れた声で名前を呼ばれた。 「麗っ!!」

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