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余談のお話

  「なんだお前、ちょっと怖いぞ」 「またまた、そこは教師なんですからドシッと構えてくださいよ」  静かに撮られるテッちゃんの姿にこれで何人のかわい子ちゃん達が抱かれたのかと考えると、180越えの男を抱いた経験があるのかすぐに問いたくなるものだ。  妙に俺との距離を離すテッちゃんに俺はカメラを片手に右ダイヤルを回しながらふざけたノリを始める。 「はい、じゃあテッちゃん、年齢は?」 「は?」 「歳だよ歳、話はそれからです」  そう言えば嫌そうな表情を浮かべつつ、27だけど、と漏らした。  やっぱりカメラがあるせいか少し警戒しているテッちゃんはまるでボロを出そうとしない。お堅いテッちゃんなんてテッちゃんじゃないみたいで違和感がある。  もっとハッチャケてて面白いはずなのに、真面目な男ほどつまらないものはない。  真面目受けなら話は別だけどな。 「はい、27歳のテッちゃんこと鉄野先生はどういった趣味をお持ちですか?」 「趣味……?」 「いいんですよ、男を抱くのが趣味ですーって答えで」  右手で持つカメラに左手で親指を立てながら小型画面に映るテッちゃんへ合図。わけもわからず進むものにイラつきが伝わってくるのも一つの事実。  風の噂はすぐに俺の耳に届くんだ。  テッちゃんは無類の乳首好きだと。  もちろん表に出るような噂ではないが、届いてしまったウワサを聞きたかっただけ。数人ほどテッちゃんに乳首を開発されて、着ていたシャツに擦れて感じちゃうぐらいまでの子も現れたぐらいに。  どうせなら飯塚先輩の乳首開発もお願いしたいじゃないか。それに、俺のあとのテッちゃんという流れは最高にいい気もする。  初めて男を抱いた相手からの次の相手はテクニック持ちである大人の男に抱かれるんだ。まだ俺のプランの中身だけだが、もし了承を得たら天国にイっちゃうかもよ? 「男を抱くのが趣味なテッちゃんにお願いがありまーす」 「……」  ここまで警戒するなんて予想外にもほどがあるが、そろそろいつものテッちゃんに会いたいんだけど。俺だってこんなことするのは初めてなんだし?  やっぱり興味と興奮には勝てないじゃないか! 「ある男の乳首を開発してほしいんです」 「……」  おいおい黙らないでくれよ。その沈黙が時に恐怖を招きそうでションベンちびりそうだって。 「テッちゃんの守備範囲は、広いですか?」  上から下へ、下から上へゆっくり撮りながら最後はテッちゃんのイケてる顔をカメラに向ける。  小型画面から見えるこの顔は、抱かれた誰もがメロメロになってたりしてな。 「広いですか?テッちゃん」  押すように問いかける。  女のナカは一切知らずに男のナカだけはしっかり覚えちゃってるその下半身。よくよく考えればある意味、童貞じゃないか?  カメラはまだテッちゃんの顔を撮っている。小型画面にはまだテッちゃんの顔を中心に後ろの背景も綺麗に映し出されてる。  目だけを動かし、これから使うであろうソレを見れば、 「……だいたいは、イケる」  ちゃんと勃っている素直な下半身に喜びが溢れそうになる。 「そうですか、そりゃよかったです。あ、ちなみに処女厨とかではないですよね?」  今まで小型画面越しでしかテッちゃんと目を合わせていなかった俺の顔は大事な確認を取るために今ここで初めて顔を合わせる。  気まずそうに目を逸らすテッちゃん。  ここまで生徒に攻められたことがないからだろう。これだから総攻めは。 「処女厨ではない。まぁ新しいのに良いも悪いもないからどちらでも」 「おっ、火がついてきて嬉しいですよ」  吃るような態度でなくなってきたテッちゃんに俺はまた小型画面に目を戻して、映るテッちゃんに微笑みかけた。  当の本人はご無沙汰なのかヤる前の男に大変身。変わりがはやくてこっちは楽だけど同時に驚きもあるから心配だ。  まぁヤられるのは飯塚先輩なんだけど。 「中間テストがもう近いからな。来る生徒は追い払わなきゃ成績下がるだろ」  溜め息を吐きながら俺に背を向けた。  そして付け足すように『みんながみんな木下みたいな出来のいい頭ではないからさ』と呟いた。  はははっ、すいやせんね。  それは褒められてるのかどうなのか疑問に思いながらも次のオーラは、はやく相手を連れて来いというものに感じて焦る。  最後に言わなきゃいけない事があるからさ。 「テッちゃん」 「んだよ……」  じゅ、と火を灯したのは新しく銜えた煙草。 「これからその人とヤる間、ずっとこのビデオカメラが回ってるけど、良いですよね?」  小型画面に映るテッちゃんに言えば、驚いた顔で振り向かれた。  それでも欲には勝てないのか、俺の予想通り頷いたテッちゃんに心が満たされたような気がした。  

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