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余談のお話

   テッちゃんから許可を貰ったはいいが、後に『それで俺を脅すとかはなしだぞ』と、スマホで動画を撮られた俺は素直に頷いていた。  脅すなんてとんでもない。  俺はテッちゃんのノリが好きだし、どんどん生徒をはじめに同じ立場の教師達もハメてほしいわけで……ここを辞められたら困るのはきっと俺だ。  そんな話をしながらのブラック取り引きを成功させていると、閉まり切っていたドアが勢いよく開いてお互いカメラを向けていた俺達は急いで隠し、その場に目を向けた。  まぁ奇跡ってすげぇなぁ、と。 「あ、飯塚センパーイ」 「……」 「おぉ、飯塚。また怪我か?」  そこにいたのは飯塚先輩、改め、トモくん。 「また怪我ってことはいつも来てるんですか?」  隠し持っていたカメラをどうどうとテッちゃんが座るディスクの上に。  テッちゃんに話しかけながらも俺は飯塚先輩を見続ける。  飯塚先輩は、俺が置いたカメラに目が釘付けで動こうとしない。  震えて見えるのはどうしてかなー? 「ばーか、飯塚の手出しはどこよりもはやいんだぞ?それに強い!きっと我が校の問題児だな」 「でも生徒会に入ってるから不思議ですよねぇ」 「まぁな……毎日の素行も見て自薦なり他薦なり行ってるはずだが」  テッちゃんが飯塚先輩に手招きをして呼び出す。  それでも動こうとしないのはいまだにカメラを見ているからだ。  あぁ、そんなに気になっちゃいます?  大丈夫だって、今入ってるデータは無意味に撮った教室内と中沢に松村、王司の冗談AVノリ、そしてテッちゃんの交渉内容だけだから。  トモくんの処女脱はちゃんとパソコンに保存してあるから大丈夫だって。 「飯塚、どうした?」 「いやっ……なんでも」  なかなか来ない飯塚先輩にテッちゃんは首を傾げながら聞くと慌てたようにドアを閉めて入ってきた。  三人だけの放課後。交渉は出来ている。許可も本人達から貰っている。  あれ、もしかして――。 「飯塚先輩」 「……」 「ヤっちゃいましょう!」  チャンスは今なのかもしれない。 「……は?」 「……木下?」  俺の楽しそうな声と素晴らしい笑顔と途端にカメラを向けた行動で発言すれば、どこを怪我しているのかわからない飯塚先輩は動揺した反応をとり、テッちゃんはまたもや首を傾げていた。  そうだな、そりゃそうなるよな。飯塚先輩はともかくテッちゃんの反応は合っている。  開発お願いします、なんて言ったはいいが相手を知らないテッちゃんは俺の言葉をよく理解していない。  でも飯塚先輩は違う。  このカメラの存在をわかってて、その後も続けられる思いもあり、あんな反応をしちゃってるわけで。 「……」  動揺からの黙り込む飯塚先輩。不良様らしくない。  粋がるような画がほしいんだけど。 「えっ……え!?木下お前まさかっ」 「シーッ、テッちゃん静かに」  そんな飯塚先輩の反応にテッちゃんは察しがよく、俺と先輩の顔を交互に見た後、信じられないというような表情を浮かべる。  放課後だからって誰もいないわけじゃない校内。保健室こそ余計にいないと思われるが、まだわからないだろ?  部活をしてる奴だっているし、委員会でなにかしらをやってる奴等もいる。  走って転びました、紙で指を切りました。  そんな理由で怪我して現れる可能性があるわけだから、ここは不在プレートをかけて、ちゃんと鍵をかけようじゃないか。俺ってば優しい。  飯塚先輩に近付き、鍵をかけるついでに背中を撫でて落ち着かせる。  まぁ焦ってるかどうかは知らないけどな! 「いや、いやいやいや!木下これはまずいって!俺がボコられるっつーの!」 「だから静かにって言いましたよね?」 「いやだって……」  暴れるテッちゃんに呆れ顔で返す。  それでも納得はいかないみたいで首を横に振っては否定するポーズ。でも、相手を言わなかったにしろ今さらなかった事にするわけにはいかない。  飯塚先輩の乳首だって反応させたいし、テクニック持ちだと思うテッちゃん相手にはやくヨガってほしい。強気な言葉を吐きつつすぐイっちゃうような、そんな不良様の画がほしいわけよ。 「殴りませんよー。そんなことするわけないでしょ、ねぇトモくん?」  鍵をかけ終わった俺は飯塚先輩の肩に腕を回してさり気なく歩かせる。  チラつかせたカメラを目の前に、 「これから楽しみですね」 「……ッ」  頷くトモくんの顔、面白い。  

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