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緊急事態その2で要約
そんなこんなで時計を見れば7時を回っていて、どんだけ居たんだ?と二度見したほど。
あと昨日の夕方から、友樹は出てきてないけど大丈夫なのか?
俺が心配したところでどうにもならないものだが、さすがに半日も閉じこもってるとか……。
でも俺も俺で限界だ。眠い目を擦りながらなにもかもをそのまま放置して俺は寝室に向かう。
今日は良い夢を見れそうな予感だなぁ。
相手がテッちゃんでいい具合に疲れ切った友樹も色気があり、そのデータも中沢が来る直前まで見ていたから脳に焼き付いて、その影響で夢に出てきてもおかしくない。
というか出て来い。
あまり音を立てずにドアを開ければまだベッドに寝転んでる友樹の姿。
まぁさすがに寝相は変わっているけどベッドを独占しているに違いはない。
「友樹、」
ゆさゆさ、と肩に手を置いて揺らす。
こんだけ寝ているせいか小さな声を上げながらの反応。
「んん……」
「友樹ってば、少し壁側に寄ってください。俺が寝れない」
特待生枠だからといってベッドも特大というわけではない。普通にシングルベッドだ。男子高生二人が寝るにはキツ過ぎる大きさだから。
「とーもーきー」
しつこいぐらいに声を上げれば友樹の眉がピクッと動きながらも体を壁側に寄せてくれた。寝起きは悪い方なのか……。
やっと出来たスペースは満足出来るものではない。その隙間に、床に落とされないように、なるべく友樹の方にくっついて寝る事にしようか。
背中越しに伝わる温かさ。これがなんともくすぐったいと思うのは、久々だからかもしれないな。
こういった空気っていうの?
「ん、木下……?」
「あ、やっと起きましたか?というか“木下”じゃなくて“歩”でいいですよ、友樹さん」
「……」
もぞっ、と動いた後ろに俺は狭いスペースで体を向けて友樹と顔を合わす。
完全に開ききっていない目で強面な顔もまだ幼さが残っていて、ついカメラを手にしたくなる。今はそばにないから無理な事なんだけどさ。
「昨日の友樹は可愛かったですよ。あんなにヨガっちゃって、よっぽど気持ち良かったんですね。条件を飲んでくれた友樹に俺ももちろん答えます」
――付き合ってみる?
いや、これは約束だから。ハメ撮り感謝祭だから。ヒドイものでもしょうがないと思う。
感情移入が出来ない?――知らねぇよ!
だってハメ撮りの他にも俺が見たかったジャンルも見れるし、友樹もここまでしてでも俺と付き合いたがってるし、合意とみなしてもいいだろ。
しかも、一回でもヤった仲だ。気持ち云々の話じゃない。一回でも、挿入する側でも、ヤって違和感を感じなかった。俺はそれほど嫌じゃなかったから付き合っても問題はそれほどないだろう、と。
形だけでも、約束は守ったうちに入る。
「あゆむ……」
「んー……おれ眠いんですよ……」
そのまま目を瞑って眠りに入る俺に、友樹がもう一度呟いた“歩”という名前が、耳に入らなかった。
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