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テイク♂2.友達 カレの初モノ、いただきます。

   次の日の放課後。生徒会長の五十嵐曰く、もう家庭科第二準備室は物置状態だそうだ。  なぜなら俺達が高等部に持ち上がる前に第二準備室とは反対側の空き教室を改装して、そっちを使うことが多くなったからとか。  そう考えるとここの第二準備室も準備室のくせにいずれは改装してなにかの教室として使われるんだろうなぁ、って。まあ第一の方もあるし、おかしな話ではないか。  また大きくなるのかよ、この学校。 「トモくーん、調子どう?」 「……はぁ」 「ははっ、良い感じって言わなきゃですよ?」  録画開始とともに俺と友樹はもう家庭科第二準備室にいた。  放課後といってもほとんどの生徒は寮に戻る時間帯だ。見回りもきっと来るだろうけど、物置状態の第二準備室はチラッと見て終わるだけ。  その時にちょっと静かにしていればいい話だろうし、うまく当たればその見回りの人物がめんどくさがりだったら、ここを飛ばしてすぐに帰ると思う。  ま、見付かっても愛を確かめ合ってました!の一言で解決出来たりするけど。  だってそういう奴が集まっちゃってる学校でもあるし。 「俺の友達、磯部って言います。男同士に興味があるんだって」 「……」 「だからトモくんがリードしないといけないかもですね」  小型画面に映る不機嫌な顔は昨日と変わらず、むしろ増してるような気がする。  さっきの溜め息も自然に吐いたものじゃなくて意図的に吐いたものだろうな。そんなことしても始まるものは始まっちゃうわけで意味がない事もわかってるかね? 「歩の友達なあ……」  やっと口を開いたとしてもなにを考えてるのかわからないもの。  カメラから目を逸らしながら黒板を見てるけど、トモくんの腕は本当に強いから。 「友達なので、手はあげないようにお願いします」  みんながみんな俺みたいな動きを出来るわけがないんだ。  磯部に伝えた時間まであと……二、三分あるかないか。あいつこんなギリギリまで来ない奴だったっけ? 「女は抱いたことあるみたいですよ」 「……」 「トモくん?」  ドッ、と、置かれていた机に座っていた友樹。  当たり前だが、さっきから無言でなにも言おうとしない。言ったとしてもよくわからない呟きで俺自身の解釈をしては、殴らないよう注意するぐらいだ。  カメラから逸らされていた目は元に戻っていて、画面越しの友樹と目が合う俺。あまりにもジッと見つめてくるから小型画面に映る友樹じゃなくて本物の友樹を目にうつす。  そしたら、 「……もう一回、昨日のキスしろ」  嫌そうに、というか、本当は嫌なのに、たかが俺の言う事を素直に聞こうとする一途さは尊敬しようか? 「二回目なのに友樹の決意はやですねぇ」  持っていたカメラをおろしながら友樹に近付き、何度かぶつかるキスをしたあとに舌を入れる。 「うぃーす」  そこでやって来たのが、本日のお相手、磯部くん! 「チッ……」  舌打ちをする友樹。 「え」  来てそうそうに状況を理解出来ていない磯部。 「まぁまぁ」  なだめる俺、という図。  来る寸前で一旦、唇を離したのが正解だった。じゃなければヤる前からバレる関係に磯部は混乱してナニも出来なくなるかもしれないからな。  切り替えてビデオカメラを構える。その格好に磯部はどこか緊張しているみたいでビシッと背筋を伸ばし、その場から一歩も動こうとしない。  そんなんじゃ始まらねぇよ! 「そんじゃまぁ、最初は自己紹介いこうかー」  固まる磯部の腕を掴んで無理矢理、友樹の隣に座らせる。微かにだが磯部からシャンプーの匂いが漂ってきたような……こいつ律儀に風呂入ったのか?  こいつ本当はただの童貞なんじゃねぇの? 「はい、じゃあ二人ともお名前はー?」 「いいづか」  今回は名字なんだな。その使い分けはいったいなんなんだろう。 「い、いそべっ」  磯部は磯部で素直に答えてくれてお決まりの流れがすぐに終わる。 「飯塚は言いにくいからトモくんでいきますよー」  そう伝えると磯部は首を傾げる。  画面越しに映る、二人の雰囲気の差がもう違い過ぎて違い過ぎて――って、それが普通か。 「トモくんと磯部の共通点はないんだけ?」 「な、ない!」 「……」  なぜだ。  今回の友樹はどこか余裕そうな態度に見えてしょうがない。怯えてる姿が一番見たいってわけじゃないから、いいんだけどさ。 「尻に突っ込むのは初めてなんだよな?磯部」  俺の質問はまだまだ続く。  本来ならもう始めてもいいんだが、知っている事をもう一度カメラの前で確認するために聞いた茶番だ。嘘っぽい演技に喋り方が目立つAVっぽいものも、今ここで行われてるのは本来の俺の態度と喋り方だ。  磯部だから少し大袈裟な態度に嘘っぽく見えるが、まぁいいだろ。  本当に野郎相手は初めてなんだし。 「と、いうことでー」  カメラをクイッと友樹に向ける。 「なにもかもが未知過ぎる磯部のために、トモくん」 ――自分のお尻を自分で(ほぐ)しちゃってください。 「はっ!?」  俺の言葉に驚くトモくん。余裕かましていたあの態度とは一転、焦る姿がカメラにおさまる。  まあ、アナニーな。完全初心者なバカ磯部はまだ慣れてない。なのにいきなり友樹の尻穴に指入れるとか、そんなのするわけないだろ?  だったら攻めていた時を思い出して、友樹自身がちゃんと解せば問題なくコトが進む。  グダグダされても興奮は冷め切るし、アナニーするトモくんを見てみたい俺の気持ちもあるわけだ。  M字開脚で丸見え状態のままオナる姿もいい。四つん這いになりながら上体をひねってバック姿で穴を広げるのもいい。  んでもって、磯部の勃たせてやってよ。 「磯部もよく見とけよ?あそこに突っ込むんだからな。漫画や小説とはまた違うんだぜ?」  ビデオカメラは驚いて戸惑うトモくんを撮り続けて、俺は首を磯部に動かす。 「ど、どうしよう、ドキドキしてきたわっ」 「まぁ普通に考えて女でもアナルセックスは出来るけどな……」 「どっちのアナルもしたことねぇよ!」  右ダイヤルと左ダイヤル。くるくるゆっくり動かしながらズームアップをしたりズームバックをしたりの繰り返し。  楽しい友人との会話に一人、取り残されてるようなトモくんは動揺しているみたいで忙しい感情を表している。 「……」 「トモくん、ぜひ頑張ってほしいです」 「っ……」  磯部から目を離してまた小型画面に映る友樹を見る。  アナニーに恥ずかしがってるのか口元に力を入れててギュッと結んでは眉間にシワを寄せていた。  

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