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突如終わる世界
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「そんで、えーっと……ハメ撮りやったら付き合うという話で……合意の上での、撮影ですっ」
説明は一通りした。一部を除いて。
わかってくれるかどうかもわからない俺と友樹の関係だ。わかってくれないと困る点もいくつかあるけど。つーか……こんな俺を松村に見せたくなかったんだけどな。
中沢も同じで絶対に見ないでほしい俺だ。
なのにこうもはやくに――ってまだ松村だから良かったのかもしれない。これが中沢だったら、と考えると……平凡ジャンルが俺の中で、生で見れなくなる。
まだイケメンの方で、良かったと。
「……今くだらない事を考えてたろ」
「イイエ、マッタク」
「……」
やっぱ良くなかったわ。
とりあえずどこまでわかってくれたのか、まずはそこからだな。
パソコンの前に置いてある椅子に座る松村は立ち上がり、いつもの定位置であるソファーに座り直す姿を見て、俺は正座していた場所を変えてからの再び正座をする。
俺の定位置はパソコンの前だ。
「はぁ……順平が言っていたのってこれのことか?いやでもそこまで知ってるはずないもんなぁ……」
重く長い溜め息に松村は顔を両手で覆いながらぶつぶつ呟いている。……そういや五十嵐の奴、磯部のハメ撮りの後で持っていたビデオカメラを見ながら『最近はそのカメラがお気に入りみたいだな?』って言ってたっけ。
……いやぁ、まさかぁ。
俺とのハメ撮りはともかく他の奴等のハメ撮りまでは、知らないだろうよ……知らないでいてほしいんだけど。
「だいたい、こんなことされてまで木下と付き合いたがる飯塚先輩はどこで惚れたんだ?」
「や……その、それが俺にも考えがつかないというか……」
「聞いてないのか」
率直過ぎる松村の言葉に詰まらす俺。聞くタイミングはいくらでもあった。
それをはやいうちに聞かなかったのは、友樹の相手をしてくれる奴等が続いたからであって……けど言わなきゃ松村は信じないんだろうな。
今のところ半分は俺の説明を信じてるんだろうけど……それも五十嵐がなにか松村に言ったみたいだからこの話とリンクして納得したに違いない。
どのみち俺の信用度は三割もないってことだ。
「飯塚先輩を、呼んでもいいんですけど……」
「……」
「さすがに誰かにバレたとわかれば……また暴れるかなぁ、って思うんですよ……」
敬語になるのはしかたない。
それにしても松村は五十嵐と直接繋がりのある関係だ。この間の極秘騒動だって絶対に知ってるだろう……から!
その話題を釣り糸に引っ掛けて松村に言い渡すしか方法はない。
これで少しは信用度が上がればいいけどな……。
「……なぁ、木下」
ソファーに座る松村に正座をしている俺。
どっちの頭が高いかなんて、ソファーに座ってる松村に決まってる。
そんな物理的に目上遣いになってる俺は松村から痛い視線を感じながら小声で返事をした。
「はい……」
「受け入れる方って、すっげぇ痛いの、知ってっか?」
……それはもう、小説でも伝わるほどですが。
「創作物と現実を一緒にすんな」
松村様すげぇ。俺の顔見てない癖に見透かしてるとかすげぇ。何度も言うがお前と五十嵐はお似合いだよ。
ホント、もう、マジで。
「……あの、飯塚先輩も、めっちゃ痛がって、ました、ね」
「だろうな。見る気はないが、あの動画を撮ったお前はニヤニヤしながら腰振ったんだろうよ」
「……」
「先輩もよくわかんねぇけど、なんで木下かね」
「……」
「もうお前、最低過ぎるにもほどがあるぞ」
ズタズタズタ、と。言葉責めにもほどがあるキレかた。
ごもっとも過ぎて言い返せないが……。
「それなのにハメ撮り?外道かって」
そう言ってまた深い溜め息を吐いた松村。
確かに、やり方は他から見たらヒドイものかもしれない。俺だって客観的に見たら自分を貶すさ。こんな事してなにになるんだ?って。
でも、ないものを探す興味はあったし、そこに可能性がある好奇心に負けた餓鬼 だから。どんな気持ちで受け取ったかは知らないが友樹だって条件をちゃんと飲んで、今に至るんだ。
もしかしたらだけど、本当にこれは俺の予想でしかないけど、こう思う時がある。
「でも飯塚先輩、最近は気持ち良さそうにイってるけど」
ポロッと出た言葉。俺の予想。
わりと自信ありな予想、のつもりだ。
「――っ、ンなわけねぇだろ!」
「ちょッ!待った!冗談でっす!」
やっぱ友樹を呼ぼうかな!?
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