47 / 114

余想談

  「――で、」  メモリーカードをようやく買った。 「で?あ、智志それくれよ」  ちなみにUSBも買ったから当分なにかで困る事はないだろう。 「寮に帰れば新しいのやるって」  二人の弟からどう攻めてもらおうかな、とか。その前に交渉は上手くいくか?とか。 「腹減ったー。今がいい」  そんなドキドキに俺は一人心を躍らせながら、こいつの話を進めていこうと思っていた。 「おい、お前等……」  終業式を終えた今日。まったく俺の話を聞こうとしない松村と中沢はまるで女子会だ。  男だから男子会か?  それにしても乙女すぎる。なぜ今ここでミルフィーユを食おうとしてんだよ。  中沢が言ったように寮に戻ってから新しいの貰えばいいだろうが!  いや、なぜ学校にミルフィーユを持ってきたのかも問題だが……そんなミルフィーユよりもっと大事なことがあるだろ!? 「木下も食えよ、腹減ってるからキレやすいんだって」  表情に出ていたのか、それとも見破っただけなのか。松村が中沢の手作りミルフィーユを頬張りながら言ってきた。 「一番キレてる回数が多い奴に言われたくねぇよ。で、中沢。その後どうなんだ、あいつ」  それでもこの二人を眺めるのが好きだから空気は壊さず、だけど聞きたい事は聞いとく姿勢で切り替えす。  ドMなバリタチ王子様と、一緒に寝た一週間はどう過ごしたのかって。大きな期待をしていないわけでもない。けど進歩は俺がむずむずするぐらいのものなんだろうと予想する。 「別に変わりねぇよ。相変わらず変態だし殴られてもっともっととか言うし、いまだに俺の部屋で自慰なんてしてるし。ほんとマジでなにも変わってねー」  呆れた顔で作ってきたミルフィーユを持ちながら報告してくれた中沢。  ニヤケそうになる口元をバレないようにグッと力を入れて耐えてるが、やっぱすげぇな王司。これってもしかして怒られたいがためにヤっちゃってる行動なんじゃねぇの?  愛? 愛が行き過ぎた?  恋に見返りなんて求めてもなにもならねぇのに、王司は自由だなぁ……。  すぐ磯部や窪田に話したいものだが、一人はクラスが違くて、もう一人は中等部生だ。  くそ、来年のクラスには期待しようじゃないか。 「歪みないあいつに拍手を送りたいね」 「俺はもう中沢達のセックスが楽しみで楽しみで」 「んー……でも夏休みだから。お前が期待しても射精と同じく儚いだけだぞ」  それでももぐもぐ頬張る松村に、懲りない俺の楽しみを下ネタと一緒に壊してくる中沢の一言。……わかっていない。なにもわかっていない。  夏休みこそイベントが爆発する時期じゃないか……! 「儚い?なぜ?夏は人を変えるぜ?」  これを機に友樹もハメ撮りで恥ずかしがらずにピースしながらイってもらいたい、と考えてる俺は絶対に悪くないから。  頭に花も咲かせてない。  

ともだちにシェアしよう!