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余想談

   埋めてる枕をさらにギュッと抱きしめる友樹の行動につい笑いそうになったけど、たぶんその笑いはおもしろおかしく見えるものじゃない。  もうなんか表せないぐらいの気持ちが達して、笑うというか。  俺ってば他の奴等にはいろいろ言ってるくせに自分になるとグダグダするなぁ。 「トモくん、トモくんってば」  ベッドにのぼり、またさらに友樹に覆い被さる。  そういや、クーラーついてねぇのな……。 「んだよ……撮ってんだろ、それ」 「よくわかりましたね」  指差しはしていないものの、なにもしなくてもわかる言葉にケロッとした感じで返す。  このカメラはパッと見で録画してるかどうかなんて見分けがつかない。録画中に赤いランプが点いてるがそれは撮ってる側にしかわからないようになってるからだ。  でも友樹はわかったみたいだ。すごいなー。 「ハメ撮り気分になれましたか?」 「気分とか意味わかんねぇよ!……お前が、トモくんとか、呼ぶ時だいたいそうだろうが……」  こもる友樹の声。  ああ、なるほど。俺も無意識だったみたいだが、そういう見分け方ね。……気を付けよう。 「ん、でも友樹が泣いてたのは嫉妬ですよね?考え込んじゃいましたか?」 「……」  意地でも今の顔を晒したくないのか枕に顔を埋めたまま首を振る友樹。だけど絶対にそうだと思う俺こそ考え過ぎとか、そう見えちゃうだろ?  ハッキリ言わなくてもわかる行動を取ってんだから白状しちゃえばいいのになー。 「友樹、そのままの格好でずっといるなら俺が決めちゃいますよ?」 「……」  嫉妬した、って、そう言えば。 「弟くんに後輩ちゃんを集めた3Pでもします?あ、弟が二人いるから4P?俺は複数人もイケるんで、それならそれですっげぇ楽しみだなぁ」  頭を撫でながら、やりもしないプランをつらつらと友樹に伝える。  俺の大好きな不良受けはあの後輩ちゃんにヤってもらいましょう。その時は友樹も挿れる立場になってもいいから。で、その後ろから弟くんに突っ込んでもらいましょうか。あぁ、一人余っちゃいますが安心してくださいよ!  その子には友樹の可愛い乳首を抓って舐めさせてあげますから!  最近どうですか? 自分で触っていたりします?  物足りないならテッちゃんにもう一回頼んであげるんで、我慢せず言ってくださいね。 「それから行く日ですが――「いい」  なにが?  ちゃんと伝わるよう、頭の上で、ボツネタを。でもそんなのって俺にしかわからない事じゃないか。友樹は俺の言うことを絶対に実行するって思ってるからさ。  ハメ撮りについては、とくに。  弟とは本当にヤらせるけど、精神的な苦痛ものだけだから。  窪田と一緒に?  ないないないない、絶対にない。ヤらせるわけがない。あいつノンケくんだぞ?  磯部みたいに引きずり込んでも勝手にその場から出て行くような子だから。いや、磯部はあのあとどうなったかは知らないけどさ。  食ってるかもしれないしー?  食われてるかもしれなーい。……と、話が脱線してるな。 「あ、後輩ちゃんには優しくね!」  要りもしない注意に、やっと友樹は枕から顔を上げた。  横から見えた顔を、枕が少し濡れていたことを、言うべきかどうか。 「……後輩とは、ヤらねぇよ」 「……へー」 「……」  つまり弟とは、ヤってくれるみたいだぞ。 「何度も思うけどトモくんのその覚悟、すげぇ良いですよ」 「……盆前がいい」  どうしたんだ……友樹。  自ら言ってくるとか、めちゃくちゃ嬉しいよ。  俺が友樹の上に乗ってるにもかかわらず体を反転されてベッドに落とされてしまった。  いいけど、シングルベッドだから距離はそうも変わらない。カメラがある側に友樹が映る方でよかったって思うぐらい。  体を横にして肘を立てては手に頬をつく。  この後なにしよう。 「ほんと俺が好きですよねぇ、友樹って」 「……」  なにも反応しないとか……これこそ痛い。いや、イタい? 「テッちゃんも言ってましたよ」 「うるせぇ」 「えー」  どこが?  なんて思っていたら、胸ぐらを掴まれてからのチュー。  甘さも欠片もない今の雰囲気でよく出来るもんだ。 「ふっ、ん……ちょっとー、突然にもほどがありますよー?」 「……」  まぁ、いいんだけど。  素直になれないってことで解釈しておくから。 「どうします?シますか?」 「チッ……なんで聞くんだよ」 「かわいー。今さら初心ですか?」  とりあえずお盆前ってことで決定したし、俺ちょっとヤってくるわ。  

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