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テイク♂3.弟くん こっちの世界においでよ!
ちょこん、と友樹の足の間に正座する裕希君も待ちくたびれると思うし、俺の心拍数だってなぜか上がりっぱなしだ。
「名前と年齢教えてよー」
「木下さん……?」
「はーずーせー!」
グイグイッ、と――友樹、静かに。もしくは恥ずかしさからくる叫びか?
ならそれはそれで可愛いからBGMとしてほっとくぞ?
「AV、見たことねぇの?18禁とはいえ今じゃネットで見放題のも確かにあるし、こういうノリ知らねぇ?」
「ない、ですけど」
うわ、マジかよ。俺、普通に見ちゃってたんだけど。むしろ河原に落ちてるエロ本を見付けて読む、なんていう方が今どき難しいと思うんだけど?
「てか、名前ですよね……えっと、裕希です。ちゅ、中二……」
「裕希……言わなくても……」
会った時とはまた違う裕希君になったよなぁ……。白状させてこれとか、俺ホント悪い事した感じ?
小型画面の向きを直して裕希君を撮ってはみるが、もぞもぞしているというか……顔が赤くなるのはわかるんだ。これからの事を想像すれば未知の世界過ぎて頭の中がえらい事になっている、と。
そんなすごい妄想でもしてるのかい?――裕希君。
「お兄さんお兄さん、」
「んだよ……外せ」
「嫌です。……ユウくん、ちゃんと勃起しちゃってるよ」
「はっ……?」
俺が言うと、友樹は素直に驚いた声を出し、それでいて裕希君はテント張ってる下半身を両手で隠し始めた。
カメラのピントはもちろん裕希君のモノへ。裕希君自身の準備もなんか整ってるし、さっそく扱くか?
うははっ。
「キスはー……いいか、そこを求めてるわけじゃないし」
「え、キスですか?」
「もうなんなんだよ、これ、」
友樹ってばアホの子なのか。どう足掻いても俺にしか外せない拘束術なのに、なに頑張ってんだよ。
無視しよう。
「ユウくん、トモくんのベルト外してあげて」
「ちょちょ、待て、待てってッ!」
待ちません。
俺の方に顔を上げる友樹だが辛うじて眉が見える程度。困ったように垂れた眉で表情を見るしかない。
いつもより近くにいる友樹にカメラを向けて、あたふたする姿をおさめておく。
前から気付いていた事だが、嫌がる反応も焦る反応も、ちょっとした気持ち良さから理性を離さないようにする反応も──見てて俺が良くなるなぁ。
というか、そういった反応が好きというか?
もっと嫌がればいいと思うよ。
「い、いいんですか……?」
「男に二言はない!トモくん、腰浮かせてください」
「いやだ」
頑固だ。裕希君相手だからか?
無理矢理浮かすか……。
義理兄弟二人があたふたする中、俺一人はハメ撮りについて一生懸命考えている。自分の欲のためならなんだってする気でいるからかな。
「ユウくんは続けてていいから。他人のチンコを見るのなんて初めてじゃないだろ?」
小型画面越しで映り、頷く裕希君を見た後、俺は体を曲げて友樹に口付け。いきなりのキスにビクつく友樹。
抵抗の言葉を吐きすぎて開いたままの口のナカに舌を絡ませると、いつもと違う角度のせいか感じ方が違うことに気付いた。
上顎ばかり責めていてもしょうがないと思いながら下顎をなぞれば友樹は開いた隙間からイヤらしい声を出しはじめる。目隠しされてるから余計に感じてんのか?
「あッ、ふぅ……な、んだよ……っ」
腰に回ってる腕も、手も震えてんな。
くちゅくちゅ、と舌が絡まるとともに水音が立ち、それも興奮剤としているんだろうよ。
かちゃかちゃと金属音が聞こえる。裕希君が友樹のベルトを外しているんだ。
後戻りが出来ないとわかったのか、それとも純粋にベンキョーをしたいと思ってるだけなのか――それとも、ヤりたいだけなのか。
「ん、ちゅっ、あー……トモくんとのチューはやっぱ好きだなー」
もういっかい。
そう言ってカメラを持っていない手で首元を触れば敏感な友樹は喘ぎに似た声を出しながら一瞬その時に腰を浮かせた。
「はあ、ん……ぁッ」
「で、できちゃいました」
耳に届いたユウくんの声に俺はまだ友樹とキスをしていたため親指を立てて、ナイスと伝える。
友樹は友樹でジーンズと下着をずり下ろされて嫌だったのか俺とのキスをやめようと首を振って抵抗。
ここまでされてもなぁ……先が思いやられるというか。
「んはッ、ゆう、きっ!ほんと一回考え直せ!殴るぞ!」
ちゅ、と唇を最後に舐めて離せば瞬時に出てきた友樹の叫び声。あーあ、これじゃあ弘人君が起きるかもしれないだろ?
裕希君に向けていたカメラのレンズを友樹に戻すと、口端から出ているよだれのテカりがよりいっそエロさが極まっていてテンションが上がる俺。
「殴れないのに殴るなんて言われてもユウくんは怖くないもんなァ?」
「ん……てか、俺がおさまらなそうです」
半勃ちしている友樹のモノを見ながら言う裕希君の目は、本気だ。美味しそうなものを目の前に出されて我慢している図、みたいな。
そんな裕希君のために、置いてあった俺の鞄に手を伸ばす。
膝枕状態の今、なかなか動けないからな。俺の周りは荷物だらけだ。
なるべくブレさせないように持つカメラは片手で鞄の中をあさるとなると少しだけ苦を感じる。
「ユウくーん、これはさすがに知ってるだろ」
ドン、と出したデザイン控えめなボトル。
実はこれ四本目なんだよ。磯部の奴、加減を知らないのかあの時どばどばと出しちゃったみたいで。それでいて俺ともセックスする友樹だからめちゃくちゃ使う使う。
乾きにくいもののはずなのに出しまくってるせいでなくなるローションが本日四本目。
でも裕希君も初めてだから結構出すんだろうな……いいんだけどさ。そのぐらいの金なら俺はなんぼだって出してやるさ。
惜しまないよ。
「あぁ……ローション、でしたっけ」
ボーッと見るローションボトルに裕希君は声を低くしながら答える。カメラが撮る先――それは内股に手を添えている裕希君の手と、友樹の半勃ちモノ。
いや、これってもしかして裕希君の確信なんじゃないか?
「はぁ、はァ……ん、」
その証拠に手を動かした後の友樹も興奮しているし、なかなかいい感じの流れだと思う。
「手、出してみ」
片手でキャップを開けながら裕希君に言うと、なにも言わずスッと出してきた両手。
素直過ぎてこれまたニヤニヤが止まらないが、出てきた両手は包み込むような手のひらではなく、じゃんけんのパーみたいにピッと広げられた手だった。
おいおい、それだと垂れちゃうぞ?
友樹が冷たさに驚いてまた違う声をあげちゃうぞー?……ん?
そんな声が聞きたいとか?
なんて関係ない事を頭の隅で考えながら、ぼじょぼじょぼじょっとうまく祐希君の手のひらに絞り出す。
「で、それ一回手で馴染ませといた方がいいぞ。冷たいせいで相手がびっくりすると思うから」
画面越しに映る裕希君を見ながら言えばローションというものに興味を持ち始めたのか楽しそうに手のひらを合わせて擦っている。
俺ビジョンで見たらめちゃくちゃ楽しそうな顔なんだけど。
「んッんッ、冷た……ッ」
「ユウくんに今ローションあげたんで」
友樹の体も順調みたいだな。触れるものにしろ垂れるものにしろ、感じはじめてる。
「出来たか?」
画面越しで頷く裕希君。
「じゃあそれを、トモくんの……そうだな、まずは金タマにでも触れてまた馴染ませてみればいいよ」
「こう?」
「あぅ、んッ」
触れたタマに、大袈裟といえば大袈裟だと思う触り方に体が跳ねた友樹。
「そうそう、揉むようにするのもいいな。ほら、そこも扱いてみ?ローション垂らさなくても我慢汁で滑ったりすることもあるから」
ちょっとだけだけど、なんて付け足しながら俺は容赦なく友樹のモノにローションをぶっかける。
「ひゃッ……!ばか……!」
「木下さん、冷たいせいで相手がびっくりするって……俺に教えてくれたのとやり方が違いますよ」
注意された言葉に俺は笑いながら『悪いわるい』と返した。
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