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妬き余談
「友樹、おーい、友樹ってばー」
大股で歩く友樹と必死についていく俺。
おいおい、友樹の方が足長いんだから!
それだと俺が追い付かないだろうが!
ズンズンと進むなか、はやくも疲れがあらわれて焦る。
確かに運動神経は悪い方かもしれない。漫画に小説ばかりの他に、体を動かすとしてもA君とB君を頭の中でくっつけさせてわちゃわちゃさせるだけだ。
運動でもなんでもない。それプラス、夏休みの影響か……部屋にこもってハメ撮り動画鑑賞も追加されたインドア生活。
セックスだけじゃ体力つかねぇな。むしろ減るのかどうなのか。はぁ……。
「とーもーくーんっ」
友樹を追いかけていると、なんだか人気のない道に入ってしまったらしく夕飯時の今、周りは誰もいなくて俺達二人だけ。
夏は日が長く、やっと沈んだ夕日は人気のないこの辺からすると不気味だ。お化け屋敷が苦手な俺からしたらそうとしか思えない。
ゲームとか映画のホラーは全然良いんだけど、お化け屋敷だけは譲れないよ。
「……」
「どこまで歩くんですかー」
疲れた体にスピードを落として友樹の背を見るまま。
あっちはあっちで歩幅を合わそうとせずに大股で進むばかり。ほとんどが一本道だから俺の声は絶対に聞こえてるはずだ。てか、一本道じゃなくても周りに人がいないんだから雑踏が紛れてないぶん、余計に聞こえてるはずだ。
なのに反応なし!
いい加減にしてくれー。俺だって我慢して、古河達を思ってあの場にいたんだからさ?
嫌々でも友樹が来てくれたのは良かったとは思ってるのに。
嫉妬したなら嫉妬したって言えよ。
「つーか、あっちぃな……」
今日も熱帯夜か。
そう思いながらもう一度溜め息を吐くと、友樹がクイッ右に体を向けていなくなった。一本道から曲がり角があったみたいだ。
「あー、もう!とも――うぁッ……!」
慌てて走って行けば、その曲がり角で腕を掴まれ、キスをされる。
いきなり過ぎて開いてた唇の隙間から友樹の舌が入ってきたものの、俺から舌を絡ますことは出来なかった。いや、だって、これは対応出来ねぇよ。
「っ……ともき、」
「しゃべんな」
両手で頭をガシッと固定されて身動きが出来なくなる。
どうしたどうした。
友樹からすれば俺が攻めなのに、なんだこの襲われてます的な画は……瞑れない目を横に流してどこら辺に来たのか確かめてみれば小さな遊具がそばにあった。
公園か……汚くみえるそれらに、もう遊ばれていない公園なんだなぁ、と予想。
撫でられる歯列にちゅっちゅっとイヤらしい音を立たせながら上唇を吸われて、たまに舌までも吸われる。鼻で息を吸っても苦しく感じるほどで、合間をみて口からも息継ぎをするが、それすらも苦しいぐらい激しい。
――あーあ、カメラ用意してぇ。
噛みつくようなキスにもだんだん慣れてきた頃、背中に手を回して服の中へスルッと忍び込ませる。Tシャツの下はなにも着ていなかったみたいで、ただの半袖の下は裸。
夏のくせして友樹の肌はサラサラしてて触り心地が最高過ぎる。
「んっ……」
さわさわと触りながら続くキスに応えていると友樹は感じてきたんだろうか、漏れた声はイイものに変わってきた。
「はッ……あゆ、んん……」
「んー?」
自分から仕掛けてきたくせに、やっぱりこうなるのか。この人、俺相手だとなにもかもダメになったりしてー。
調子付く俺は背中に回していた手を少しずつ、少しずつ横腹から割れている腹筋に指先でなぞるように持ってくる。ヘソ周りでも撫でまわしてあげようか?
「ふぁ、あッん……歩、あゆむ、やめっ」
「はっ、誘ってくれてたんじゃないんですか?」
「んーん……」
友樹の舌を吸っていた途中に離れられて、ちゅぱッと音を鳴らした。くっつくお互いの体は熱過ぎる。
半勃ちしている友樹のモノも、勘違いで熱さが伝わってきてるような気もする。
「とーも」
「ん、はぁ……」
さっきからそればかりだなぁ。
頭を掴まれていた手はもうなくて、顔を肩に埋めてくる友樹の可愛さに笑いそうになった。
どうよ、これ。
こんなにも行動がめちゃくちゃ過ぎる奴、いないだろ。
「友樹ってば嫉妬しましたか?それでグラス割ったんですか?」
クスクスと控え目に笑う俺って偉い。本当は腹抱えてゲラゲラと下品な笑いをしたいっつーのに、俺ってば偉過ぎる。
「……ん、」
「ちょっと我慢すれば終わることだったんですよ?……二時間ぐらいの我慢」
「……」
今の寮の門限は23時。
22時以降は外でフラついてると補導される場合もあるけど、帰りの時間を見合わせた結果、門限が23時なんだとよ。
夏休みじゃない時は21時までで結構しっかりした時間なんだが。それでも外泊届を出せば問題ないし、あの合コンも万が一の事を考えて出してきた奴等もいるとか、いないとか?
俺と友樹は出してないけどな。
「友樹は嫉妬深いんですかねぇ」
あのビッチ女よりも密着している体。ヘソ周りを触っていた手は自然と上に移動させる。
今はまだこっちも勃ってるのかわからない小さな丸いつぶ。
「……っ」
その周りである乳輪をくるくる撫で回すとビクッと小さく震えさせた友樹。
んー、順調だな。
「あのお姉さんも結構、敏感だったりしてな?」
ぶち壊す空気も、順調だ。
「……」
ふっ、と俺から離れた友樹。
近くで見る綺麗な顔は若干赤さも含まれていたが、その原因も俺が発した一言でどっちに赤くさせたのかわからなくなってきた。
今までの行為で赤くしたのか、あのビッチ女の事を口にして、それで怒って赤くしたのか……あ。
「――くぁっ、ちょっ、急にはやめましょうねっ!?」
胴体をほぼ動かさずに振ってきた友樹の右腕を危機一髪状態で止める。
俺マジで友樹の殴りだけはくらいたくねぇんだよ……くっそ痛いだろうから!
「……お前のそういうとこ、嫌いだ」
「そりゃ……失礼、しました……」
目が、目が怖ぇ……友樹は女が嫌いなのか、なんなのか……。これ絶対にあの時の嫉妬だけじゃないだろ……。なんだ、この圧倒的なオーラで押し潰されてる感じは。
不良モード? 喧嘩?
あー、怖い怖い。俺は自分を守るような術しか知らないんだからやめてほしいな……。
「もう一回ちゅー、します?」
場を和ませよう。友樹が好きそうなキスで攻めていこう。そうすりゃ許してもらえるだろ!……なんて考え始めていた。もしくは野外プレイのハメ撮りをしてもいいんだけど。
人気のないここは住宅街でもなく、家が近くに建ってるわけでもない。小さな個人経営みたいな会社はあるが電気はついてないし、誰もいないんだろうな……あぁ、そうしよう。
ローションはないが、ゴムならある。
んー、トモくんの穴はそろそろ異物に慣れてきたか?
慣れてきてる穴だったら嬉しいなァ。
「……いや、いい。しねぇ」
「えー。俺がやる気出てるのに?その憂さ晴らししちゃいましょうよ」
呑気に言いながらちょっと勃ったモノを友樹の足に擦らせて思いっきり誘うと、友樹は苦い表情を浮かべながら『誰のせいだよ、ばか』と返してきた。
まぁ、俺のせいですけど。
それでもヤりたいと思ったらヤりたいだけの思考が回る。本当はもっと気遣った方が友樹の拳も振って来ないんだろうけど、ヤれる場所を探してる時点で無理だ。
殴り掛かってきたら意地でも止めるしかない。この拳愛、やばくないか?――ははっ、我ながらアホらしー。
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