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余り道談
「せっ、先輩、あの、おれ、えっと、」
「……はあ」
友樹と愁哉さんが入ったラブホは外見からして煩わしいもので雰囲気からも漂う“ヤり場”
普通のビル建ちみたいなのもあるが、そういうのはラブホテルって感じがしなくて逆に気まずくなるのは俺だけ?
録画を終了させて持っていたカメラを鞄に入れる俺はまだ震えてて涙目になる窪田へ話しかけた。
「いや、窪田、掘る気はないし、お前をそういった目で見れるわけないだろ」
「でもここ!」
「一人じゃ入れないし、かといって同性同士の複数は入れないだろ?」
そう言うと窪田は『ひとり?複数……?』なんてぶつぶつ繰り返していたが、無視。
男女の一人ずつは当たり前に入れる。つーかそのためのホテルだ。でも最近は男同士も女同士も入れるから。どんな関係にしろ、危なくなかったら同性同士の二人で入れる。
また複数人について。
これにかんしては異なる部分もあるかもしれないが、女三人は入れても男だけの三人は入れなかったり、女二人男一人は入れても女一人男二人が入れないケースも多々あるらしい事情。
考えてみろ。
元カレ×不良がヤる場は、ここだ。だけど俺が撮っちゃったりするわけだから実際、男三人で入らないとなにも出来ない。
でも、それだと入れないんだ。かといって、さっきも言ったように一人では入る事が出来ない。
なら二人一組として来て、あとから友樹達の部屋に行っちゃえば、出来るんじゃないか?と考えた結果、窪田を巻き込んだ。
そうそう、窪田はこのラブホの部屋に入ったら一人で待機して、終わるまでおとなしくしてるんだよ。
悪いものだとは思ってるから。埋め合わせもちゃんとしてやるからさ?
「俺の、意味は……!」
「あるある、超あるから」
まだ建物の中に入ってない俺と窪田は怪しまれない程度で話していた。その時、俺のスマホがバイブで新着を知らせてくれて、ロック画面を解除。
愁哉さんからで【405号】とハートマークまで届いたメッセージ。
どうやらあの友樹と一緒にちゃんと入れたみたいだな。
「お前は好きなものを食い飲みしながら待っててくれよ」
「木下先輩……マジどうしたんですか……?」
どうしたもこうしたもねぇよ。今回の件は結構、手の込んだ事してる方なんだからさ。
別に窪田には飯塚 友樹の事を言うつもりなんてないんだけど。
そう思いながら俺はまた窪田の腕を引っ張って中に入り、適当に部屋を選んではそこをタッチパネルで押して、出てくる鍵を手に取った。
――402号――
まあ……バレないか。
「牢獄部屋にしといたぞ」
「しといたぞ、じゃないですよ!」
俺達が部屋についた頃にはもう友樹と愁哉さんはベッドで落ち着いてるかなー?とか、ルームサービスを取ってたら困るなー……とか。
そんな考えをしながら402号室の部屋前でしつこく震える窪田にBL漫画の新刊が五冊入ってる袋を渡しては背中を押し、部屋に無理矢理入れる。
いや、自動精算機で済ませられる部屋にしちゃったからさ。
ここのラブホは部屋のドアを閉めちゃったら金払うまで開かないんだよ。自動精算機がない部屋もあるみたいだけど。ちなみに休憩時間。
追加料金だけは避けたいし、三時間が限度だな。
三時間後には終わるとわかっててこの時間にしたわけだが……あの愁哉さんはちゃんと三時間で取ったか?
宿泊なんて選択してたら困るぞ……。
「じゃ、この部屋でおとなしくしてろよー?」
「……え゙っ!?せんぱっ――!」
よし、友樹達の部屋に向かおう。
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