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テイク♂4.元カレ ジュボッて突かれて監視合い!

   405号室の部屋は俺が適当に選んだ402号室の牢獄部屋とは全く違かった。  普通のビジネスホテルみたいなシンプル過ぎる部屋。  言うなら薄暗く、転々と設置されてる間接照明に雰囲気があるぐらいのもので、あとは上手く引き出しやクローゼットを利用してローションやアダルトオモチャ、フリーAVが隠されているだけだった。  が、そんな見た目とはうって変わってやたらと大きい――これが噂のキングサイズだろう――ベッドに座る二人をカメラに映す。  一人はずーっとニコニコと楽しそうな笑みを浮かべる、愁哉さん。もう一人はずーっと、俺と目も合わせず無表情でどこかを見てる友樹。  理解が出来たところで友樹は抵抗もなにも諦めたらしく大人しくベッドに座る姿を見てみると、四回目になれば覚悟を超える忍耐でも付いてきたのかな、なんて思ってしまったわけだが。  まあ、俺が考えた今日の今日なんだけどな。 「じゃ、恒例だけどいつもの流れにイっちゃいましょうかー!」  こういう場では俺の喋り方も雰囲気も変わる。  わかってきた違いにますます意識して、カメラのレンズを向け続けた。 「うっはは、AVの流れみてぇっ」  笑いに堪えきれずの愁哉さんに『普通のAVも見るんだなぁ、ゲイビの方か?』と思いながら、まずは友樹にグイッとカメラを寄せる。 「お名前と年齢はー?」 「……」 「緊張して言えない?」  わかりながらも演技をするのは楽しいものだよ。――言いたくない、口を開きたくない、ヤりたくない。  そう考えるのは当たり前なことだ。  けど、ほら、そんな“条件”もあるし、すべてにおいてヤらなきゃだろ、トモくん?  立っている俺にベッドへ腰かける友樹を見下しながら、小型画面の左下からスッと伸ばすと俺の手が映る。カメラから顔を逸らしているから向かい合わせようと顎に引っ掛けてすくい上げた。  そうすれば嫌でも画面越しの友樹と目が合い、友樹も友樹で俺を見てくれるから、もう一度同じ質問を投げる。 「なまえと、ねんれい、は?」  わかりやすく、焦らすように。そんでもって俺は映らないけど最高の笑顔で聞く。  この部屋の時間は知らないが窪田がいる部屋は三時間で取ってあるからあまり無駄な時間は過ごしたくないんだ。こっちの都合で進めるのもいかがなものかとは思うが、そこは察してほしい。 「……飯塚、友樹」 「トモくん?」 「ん……18、」 「リアル高校生の、ホモ?」  俺もリアル高校生だっつの!  今のところ友樹専用のリアル高校生だっつの!  つい口走ってしまった言葉は、またどこぞのAV男優気分。  んー、正気に戻ったらおしまいだぞ、俺。 「……ん」  俺の質問に深く考えないでくれたのか、友樹は浅く頷きこの流れを終わらせてくれた。  まったく、俺にはもったない“恋人”だよ。素晴らしい。  愁哉さんに切り替わる最後にすくい上げていた顎の手から撫でるように喉仏まで触って離すと、異常な熱さを感じた友樹の体温が消えていく。 「はい、じゃあキミはー?」  カメラを両手で持ち直して愁哉さんに聞けば、理解する時間も惜しくてはやくヤりたいのかノリノリで『愁ちゃん、19歳の大学生でーす!』なんて答えて立ち上がった。 「元気いいですね。二人は、付き合ってたんだよねぇ?」 「そーそー!」 「じゃあ久々にお互いを味わえますねっ」  なんて敬語にタメ語を入り混じりながら、雰囲気ではじめを要求。なんでもいいぞ?  いきなりハメるのも、今回は許そう。  だって相手は元カレでビッチ野郎のたまにタチに回る、この世界において全部わかりきってる人だ。  俺が手を出す必要はない。 「あ、ちょっと手ぇ洗ってきていいか?」 「いいですよ」  そのまま奥にある風呂場に向かう愁哉さんを見つつ、 「トモくーん、そんな顔しないでくださいよー」 「……」  泣きそうな友樹の目元に口付け。  

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