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小話
* * *
「……」
〝んんぁっ……!?あ、うんっ……はげしぃッ、あゆむ、あゆ、んぅ……!〟
〝んー?トモくんのナカ、ぎゅうぎゅうしてていいねっ〟
〝ぐじゅぐじゅっ……おと、やあだ……っ、あ、ん、ちくびも、やっ……!〟
プレイヤーソフトで再生されているのは、逆さまの動画。
向きが向きなため酔いやすいものになってしまった、動画。
「ちょっと雰囲気あるぞ、これ……」
それに不覚にも勃起してる俺がいる。
まるで隠し撮りみたいな、カメラがひっくり返ってて角度はめちゃくちゃでも、チラチラと見える俺と友樹の行為が最高に興奮する。
イヤホンで流れてくる喘ぎ声も、自分のものが混ざってて羞恥心があるものの、そこは我慢だ……!
これ、イケるぞ――隠し撮り!
さっそく悪い癖が出つつも俺はスマホを取り出して、ある友人に連絡。友人といってももう二年……いや、三年も連絡取ってないが、大丈夫だろう。
「……」
電話のコール回数が多い。でも繋がっただけ奇跡だな。
いつになっても女の無機質音が流れるわけでもなく飽きずに、プルルルルル――と鳴り響く。
もう一回、もう一回で出なかったら終わりにしよう、と儚い興味が崩れそうになる中、
「――もしもし?」
キター!
「もしもし!?新垣?」
かなり興奮気味で声を出してしまった。
〝新垣〟という名の男も驚いているのか、引き気味な挨拶で俺の名前を呼んでくれる。
覚えてくれてて良かった。
「新垣ってさ、カメラについて結構語ってたよな?」
『ちょっとでいい、小型なカメラだったらどんなのがいいか、教えてくれないか?』
大丈夫、大丈夫!
ここは素晴らしい世界だ!
曖昧に言葉を交わしとけば救われる世界だから!
安心しろって!
「例えば本棚のネジ辺りに埋め込めるような感じとかさ?」
耳元で聞こえてきた『そこまでの小型なカメラ?……あるにはあるけど――』という声。
男子高校生の好奇心はハンパないぜ。それも、ピンク系なものはとくにな!
* 木下 歩の性癖覚醒E N D *
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