113 / 114

【少々番外編】テイク♂xxx.俺 俺受けの可能性♂

   ――よくよく考えてみると、友樹って俺に告白する前は攻めとして過ごしてきた男だよな。 「よっ、し……こんなもんだな」  ハメ撮った動画を編集して繋ぎ合わせなどの作業をしながら思った事。  こんなにも友樹は喘いでるくせに、あの手この手と他の奴等を喘がせていたんだろう。  たまに思うのが友樹以外の男を当たり前に抱いた事がない俺にたいして、俺の攻め方は受けとしての立場にいる友樹はどう思っているんだろう、ということ。  処女脱の時は無理矢理に近かったわけで、痛そうだったのがよくわかる。あ、またあの時の動画でもみようかな。  そんな考えをしていると勝手にドアが開いて物音がした。鍵がかかっていたドアが開いて、入って来たってことは、一つ。  友樹がやって来たんだ。  連絡なかったけど……まぁ、いいか。 「いっらっしゃーい」  動画を再生するプレイヤーソフトを完全に閉じたあとパソコンをスリープモードに切り替えてそのままにする。  振り返ればソファーに座ってテーブルに置いてあった乙女通信雑誌を手にする友樹。何度も言うけど、それ腐った雑誌だから友樹が読んでもわからねぇだろ?  しかもその今月号は『攻めが受けに、受けが攻めに回るリバについて徹底議論!』というテーマが含まれている。いや、むしろそれしかない。  雑食で地雷なしの俺からするとこれまたありがたいテーマではあるが、逆に固定派地雷ありの奴等も世の中にいるわけだから。  その雑誌の批判が結構ネットであった。 「……」 「……」  じっ、として友樹を見てみる。  じっ、として雑誌を読み入ってる。    じっ、として思考を可能性に持ち運ぶ。……聞くだけでも――。 「トモくーん」  お決まりのビデオカメラ。充電マックスで三、四時間は余裕で撮れるものを手にする。  そのまま友樹の名前を呼んでは行儀悪くもテーブルの上に座る俺。 「……なんだよ」  目の前の友樹。唐突なトモくん呼びなんてもう慣れてくれてるのかと思ってたけど、そうでもないらしい。  読み入ってた雑誌の端を持つ指にぎゅっと力をはいる画が撮れた。 「今回は随分とその雑誌、目についてるな?」 「……」  指差しをすれば画面左下から現れる俺の手。  雑誌と俺の指を交互に見て、最後にカメラレンズを見つめる友樹と画面越しで目が合う。 「別に、あの元カレさんの言うことを信じてるわけじゃねぇけどさぁ?」 「元カレさんって……」  最初に言っとくけど、俺はあいつを敵視してるからね。  わかってると思うけど、勝ち目ももちろんあるけど、元カレさんを敵視してるから。  小さい?――知らねぇよ。 「トモくんも俺に挿れたいとか思ったりすんのー?」 「……」  なるべくいつもの俺を出しつつ、画面越しに映る友樹を見ながらニヤつかせる顔。  なんだっけ?  毎回、挿入される側はつまらないんだっけ?  ぶっ込む側もヤッてみたい気持ちが出てくるんだっけ?  某ビッチが言うには、こんなんだったな。 「ほら、もともとトモくんは攻める気満々で俺に告ったんだろ?結果的にいえば自分が犯されたんだけど」  性格が性格なもんで笑いながら言ってやれば、拗ねたらしい友樹の唇が少しだけ尖らせてる。……挑発するのはやめよう。  そして場合によっては、カメラは今回ないかもしれないしなぁ……あー、寂しい。 「ぶっちゃけトモくんの力なんて本気出せば俺を組み敷く事は簡単だろ?もしくは俺が避けると思ってんの?」 「……」  いつまでも黙りこける友樹。  その表情は驚きと、考えてる姿と見た。……やっぱあの元カレさんが言うように、挿入される側はつまらないと思った事があるのか?  それともただたんにタチだった友樹の感情として残っているだけなのか……その辺は俺、わかんねぇや。 「……絶対チャンス、ないだろ」  長い沈黙から時間なんて関係なかった。  乙女通信雑誌を乱雑に置く友樹は小さな声で一言、呟く。ヤケクソか。 「つまりー?俺のナカに挿れたいと?」  そう言うと、間が空きながらも、小さく頷く友樹が小型画面に映された。  どうやら勇気がなかったらしい。勇気。 「へー」  好奇心とは、ここまで辿り着くものなのか……おさまらない口元のニヤつきは隠さず、テーブルに座っていた俺は勢いよく立ち上がる。 「あ、ゆむ……?」  不安交じりの声を出す友樹。こんな弱々しい不良くんがタチとか、想像出来るか?……いや、出来るな。だってちゃんとヤっていたんだから。  こりゃベンキョーになるかもしれないだろ?  攻めの。 「風呂入ってこよー」  意味深な言葉を最後に小型画面をパタ、と閉じて俺はそのまま風呂場へ向かった。  受け目線のハメ撮りは、需要があるだろうか――。 「ふふーんー、んふーんふふふーん」  終わった風呂にマナーとして、脱がされるとわかってても下着だけ穿いて濡れた髪をガツガツ拭きながら鼻歌で出てきた。  さあ、友樹はいったいどんな待ちかたをしてるんだー?  少しの期待と残りは俺の楽しみでキッチンに置いてあったカメラを手に取り、ここから録画開始。 「……うわ、トモくんまだソファーにいたのかよ」 「……」  どういうわけか風呂に入る前と同じ、もしくは頭を抱えてるのか、体勢がそんな変わってないように思えた。  俺的にはもう寝室に行ってくれてると思ったんだけど。 「ほらトモくん立って」 「……」 「いつまで黙ってんの。あぁ、俺のこと抱きたくないとか?ふっ」  おさえきれない笑い。  だってずっと仏頂面なんだよ。緊張してるようにも見えない顔はもう喧嘩をふっかけて来そうな不良面。  普通に見たら怖いんだろうが、俺はその辺の奴等とは違うから怖いとは思わない。むしろ可愛いんじゃねぇの?  腐ィルター装置やべぇな。 「……」 「マジで黙られちゃうとこのままいつも通り、俺がハメるよー?」  右手にカメラを、左手に友樹の手を。  立ち上がらせて俺は寝室まで誘導する。小型画面に映る友樹の不安そうな顔は直接この目で見ない限りわからない情が入っていそうだ。  だから直接この目で友樹を見ないけどな。 「はーい、じゃあ名前聞いちゃおうかー?」 「……」  いつもみたいな始まり方。友樹をベッドに座らせて、俺はその前に立つ位置。  画面の左下から映り込む俺の左手は、喋ってもどうぞ?と言うかのような手。  でも、 「……」  なかなか喋らない。  いったいなにが不安だっていうんだ。不満か?  どっちにしても喜ぶと思った展開だと予想してたのに。 「どうした?友樹」  まとまらない画に録画は続けた状態で俺は普通に、ふつーの喋りで友樹に声をかける。  すると友樹はわかりやすいぐらいの勢いで俺を見ては、その細い眉を垂らした。 「ん?」 「歩……」  今度は画面越しではない、本物の友樹と目を合わせる。  やっと出した友樹の声はしぼりきったようなものだ。なんなら掠れてる声ともいってもいい。 「俺の処女、友樹にあげるって事だぜ?面倒か」 「ちがう」 「じゃあ、ただたんに乗る気がない?」 「それも、違うっつーか……」  それなら他になにがあって躊躇してんだよ。さっきはチャンスがないだろとかなんとか言うから、チャンスを作ってやったんじゃん。……まあ、俺の興味でほぼ動いた結果なんだけど。 「歩、なんで急に受けなんかヤろうとしてんだよ」 「えー?」 「その興味は、どっから来たんだよ」 「んー?」  よくわかってくれちゃってるなぁ、俺の事。  疑いの目を向けてきた友樹は吹っ切れたのかどうどうと質問してきた。  とくに理由がないと返答すれば、この人は納得する相手だったかな?  でも、ほんと、某ビッチの言葉が忘れられなかっただけだから。もしも仮に、そんな考えが友樹にもあったら、って。そう思い付いたら――行動しないか?  彼氏として。恋人として。好きな相手として。  そう考えたら阻止しようとするこの気持ち、誰か理解してくれる奴いねぇの?  友樹本人には言わないけど。 「……」 「……」  沈黙が続く、無駄過ぎる時間。おっかしいなー。元攻め様であるなら久々に味わえる気持ち良さで飛び掛かると思ったんだけど。  あっ、もしかして、 「受け入れが気持ち良過ぎてもう攻めに回れない不安があるとか?」  出た質問に俺は爆笑しながら言うと友樹は小声で『違ぇよっ』とそっぽ向かれてしまった。  それがもし照れ隠しなら、安心してくれ。挿れられる状態じゃなくなったその下半身でも、俺が挿れてやるからよ。  その時は結論として、俺受けの可能性はなかったという事だ。残念だな、俺の中の俺よ。  可能はあって無いからこそ不可能も存在しているんだ。  まるで、そう、弟攻めのようにな。  いつまでも根に持つさ。眼鏡君と裕希君の幸せを願いながらな。……小さい?――だから知らねぇの! 「不安とか、全然違ぇよ。……歩が、違う奴を気になって、でもそいつがタチ役ってわかったから、受け役をやりたい……の、かな、って……」 「あー……はあ?」  一人で妄想に浸って思い出した夏の出来事に落ち込んでいたら、友樹もすげぇぶっ飛んでる奴だと思ったよ。  思考回路が迷路になりすぎて行き止まった感じ。 「ぶっ……!」 「あゆむ、」 「キミはあれか?何気に勉強し過ぎておかしくなった不良くん?」 『表記くそ長ぇ!』  最後にそう付け足して、俺は友樹に近付き膝の上に跨ってはキスをする。カメラはもちろん、持ったまま。  俺が下になるってことは、いくら機能性豊富なこのカメラでもブレにブレまくるよなぁ。  下着しか身に着けていない俺に制服の友樹。  脱がせるなんてわかりきってる。右手にあるカメラを友樹の背中越しで左手に移し、レンズをなるべく後ろ姿の斜め上を撮れるように手首を固定。  カメラにたいする俺の動きに気付いていない友樹はやっと俺のカラダに腕を絡ませて確認をするかのようにペタペタと触り始める。 「ふははっ、トモくんも準備出来てるか?」 「ん、あゆむ、」  一旦、重なる唇を離して最後の決意を聞こうとしたにもかかわらず、友樹はすぐに口付けてきて舌入りもはやかった。  俺が映るのは今回しょうがない。姿にしろ、声にしろ。俺だって愛しの恋人様に尽くすわ。  飽きられてビッチ元カレに戻られても困るしなァ? 「ははっ、あー……トモくんのがっつき加減やべぇ」 「はぁ……ん、もっかい……」  それは友樹の膝の上に跨っていた俺をベッドに寝転がした瞬間。  持っていたカメラこそ落とさなかったものの、視界は友樹とその先にある枕から反転し、友樹と目の先の天井一点に変わる。目に少したまってる涙が色っぽくて、漏れる息もイヤらしい。 「久々でも、ココは使えるよな?トモくーん?」  ちょんちょーん、と指で突く友樹のチンコ。それを気にせずコクコクと二回、頷いた。  友樹のやりたいようにやってみればいい。  茶化す俺も、カメラに映ってしまう俺も、きっと楽しむ笑みばかりでリードをする珍しい友樹は面白くないかもしれない。  だけど俺が作ったチャンスだし?  逃したら一生来ないかもしれない。それをうちの友樹さんは譲るか?  譲らねぇな! 「歩、あゆ、」  キスからのリップ音で首筋からヘコむ鎖骨、肩を噛んできては胸元まで口付けをしてきた。  それが妙にこそばゆいもので声を出そうにもまだまだ微妙な感じ。 「んっ、くすぐってぇな……」 「はあ……っ」  カメラを持っていない右手。さっきも言ったように下着だけしか身に着けていない俺と制服の友樹。  全部任せてもしょうがないよなー。俺が暇だ。  そんな余裕を持ってか、寂しく行き先のない右手を動かしてネクタイを緩ませた。  それにどう思ったのかだんだん下にむかっていた唇はまた俺の唇に重ねてきて、二回三回の啄ばみから生き物かのように、にゅるりと舌が入ってくる。 「ふっん、んん……」  攻めても声の我慢が出来ない友樹。 「……はあ、ん」  意外に激しかった今のキスに酸素を取り入れながらもボタンを次第に外していけば、もどかしかったのか俺の上顎をなぞりながら自らボタンを外した友樹。  ブチブチッと音がしたけど、最後の方ってもしかしてボタンそのものが外れたんじゃねぇの?  友樹って裁縫とか出来たっけ?  まあ、いいか。 「変わらずうまいな」 「ん、んっ、」  あんま咥えてる時に喋ろうとしないでほしい。  だいたい常備してあるローションとコンドームをベッドサイドから取り出してる間に友樹は俺のモノを口に含み始めた。  まあ、フェラぐらいはしてくるよなー、と予想していたが案外はやい段階だったからちょっと焦る。 「あうむ、んン……」  なにを気にしているのか、それともただたんに俺の名前を呼びたいだけなのか――わからないがイヤらしくも窄めて上下に頭を動かす友樹の髪の毛を撫でる俺。  小型画面の右中央はいつもと同じでフェラ撮りに見える。  が、さらに奥の方の画面をみてみると、 「んッ……つーか、トモくんっ乳首、勃ってるけど」 「……っ」  ローションに手を伸ばす姿が撮れたから、やっぱり友樹も男なんだなって思った。  乱れに乱す友樹ばかりを見ていたせいかその行動に新鮮さを感じてワクワクしてくる俺。これから味わう痛さとかその前に友樹の動きの方が良くて面白くて考えもぶっ飛ぶ。 「ん……なんでそこばかり見んの……」 「っ、目についたから?」  わざとなのかちゅぽん、と卑猥な音を立たせながらカリに上唇を引っ掛けて口のナカから出した友樹。  なんか、フェラだけは友樹に勝てないと思い知るよ。  キャップを外して手のひらにローションを垂らしていく姿を撮る。  ただ寝ている俺は友樹を触りまくってるわけでもなく暇をもてあそぶ手はしっかりカメラを構えるのみ。 「ぶふー……っ!足立たせようか?」 「笑う意味はなんだよ」  どうやら友樹からしたら余裕のあるように見える俺で悔しがってるみたいだ。  口尖らせてどうした。さっきまで俺のチンコ咥えていたその口を尖らせてさ。  不機嫌面丸出しだなー。こっちはこっちで丸見え状態だから意外と恥ずかしいんだぜ? 「不良くんだけど紳士なトモくん」 「もういい、冷ぇぞ」 「馴染ませてくれないとかっ」  吹き出し笑いをしたせいでブレるカメラに友樹は塗りたくった手で俺の穴を恐る恐るといった感じに触ってきた。 「うっわ……変な感じ」 「……」  最初は穴の周りを馴染ませるかのようになぞってくれていたが俺が気になるのか、画面越しじゃなく本当の俺を見てくる友樹。  丁寧過ぎる友樹に俺は画面越しの友樹へ笑みを送り、またもや余裕をかましてみた。 「なんかなぁ……これ本当に気持ち良いのかね?」 「一回じゃ良さなんてわかんねぇって」 「トモくんはもう突っ込まれて虜になってるもんなー?……うぁ、」  調子に乗って煽っていたら突然チンコを掴まれて揉むように触られた。おかげで声が出ちまったじゃねぇか。出るかわからない声はあとの楽しみだろ?  俺自身、前立腺とか触られてどんな声を出すのか楽しみにしてるんだから。  俺のことなのに俺も楽しみにワクワクさせる心。  本当に自分のこの性格が好きだ。 「んっん、はぁ……きもちわりぃ……」 「あゆむ痛い?」 「んー?いやぁ……」  もう二本目の指。……これだけでも結構、力むぞ。  思い出すのは友樹の処女脱の日。  乱暴に、というかやり方が漫画小説知識のみだった俺はここまで丁寧にやらず、突っ込んだも同然だったから。  そこを考えるとこの不良くんはそうとう頑張っていたんだな、と実感。 「もういいだろ、三本目……は、ふッ」 「……」  額にうっすらと汗を浮かばせつつ俺はそんなのも気にせず友樹に笑いかける。というより滑稽過ぎるんだよ。  自ら撒かせたものをおかしく思うのはどうかと思うが、俺だぜ?  この俺があの友樹に指入れられてるとか、爆笑もんだろ。  漏れる笑みで息を吐きながら画面越しの友樹を見ていると、後ろの経験があるせいか俺の急かしを耳に入れるものの、あまりいい表情をしない。  始まってからずっと不安そうな顔だ。 「なにしてんだよ、トモくん……俺がぶっ込むよ?」 「……歩さ、」  それでもほぐす指は止まらず二本ともバラバラに、だけどゆっくりかき回すように動かす友樹。  感じたこともなければどう言えばいいか……とにかくムズ痒い。 「ほんと、痛くねぇの?」 「ぶっはは!しつこいなぁ!」  だけど、んッと漏れる声はおさまらない。 「とりあえず、わけわかんねぇからさぁ……チンコも扱いといてくれよ」 「ん」 「真剣だなおい」  中途半端に勃起をさせていた俺の下半身。  言う事は聞くみたいで、俺にあまり痛みを与えたくないらしい。  どこまでも俺だな。どこまでも俺なんだな。 「はぁ……トモくんは、元タチなだけあるな……っ」 「……」  入ってきた三本目の指。  ほぐされて広がってきたらしい俺の穴も圧迫感があって大きく息を吸い込む。自分でもわかる指を締め付ける感覚がまたおかしくて緩む口元を手で押さえた。  それなのに友樹は痛がってると勘違いしたらしく、切なそうな声で俺の名前を口にしてくる。 「はあっ、はは、ん……っ、トモくん、」  カメラは片手に口元を押さえていた手で友樹に手招き。丁寧で大事に扱い過ぎるのはいいとして、それは俺にやるものではない。  むしろ俺は最初みたいにがっついてる友樹を見たかったし撮りたかったんだけど。  素直に寄ってくる友樹はナカでほぐしていた指を抜こうとしている。 「あー、抜かなくていい。そのまま出来るだけ寄ってくれ」 「……」  扱いていた手は体の横に腕を立てて、身を乗り出して顔を近付けてきた友樹にキスをする。  腹筋も使ってるから長い時間は出来ないけどな。だけどそれだけで驚いてる友樹に舌なめずり。 「――受けって、楽しいな」 「え」  まあ、嘘なんだけど。それでも大きくさせる友樹の下半身。  本当は我慢したくねぇくせに、 「俺の興味だから。トモくんもその興味に乗っかってカメラに映ればいいんだよ。なんだと思ってんだ?……“愛”とかじゃねーよ。これ、ハメ撮りなんだから」 「……っ、」  はい、傷付いた顔もいただきー。  それからはもうジェットコースター気分。  あの乗り物って頂点につくまではゆっくり上がっていくだけのドキドキか、はやく落ちねぇかなーってワクワクするかのどっちかだろ?  変に頂点までが遅過ぎるものと同じで友樹の愛撫はえらく慎重に行っていた。それは俺相手だから、とか――実際は間違っていないだろ?  もともと友樹はどういった感じで攻めていたのかは知らねぇけど、さすがにここまでスローなものじゃないのは言い切れる。  もしくはゆっくり堪能するアナックスを好みだと思い込んでるのか?  だとしたらそれは俺が上になった時の話であって、今の立場を考えれば下になってるわけだから勘違いだと伝えねぇとな。  俺の穴に友樹の先っちょが入り込む。 「うははっ、この時点で痛ぇわ」 「はあ……」  耐えるように息を吐く友樹にカメラレンズを向けた。映し出されるのは眉間にシワを寄せて苦しそうな表情。  わかるわかる、俺も友樹の処女脱の時は千切れるんじゃないかと思ってたから。 「んっぁ……ともき、来るならもうドーンッと、やっちゃえよ」 「……ん、」 「ふっ……」  何度も頷く友樹に、俺の痛みは正直限界にもほどがある。カメラで必死になろうと思っていたが、これはどうなんだ……裂けそうだな。  友樹のことだ。俺が痛がればまだまだねちっこい前戯にほぐしまくるだろうよ。でもそんなのばかりヤられたら俺が持たないし、カメラの維持も自信がなくなる。  容量とか、充電の意味ではなく俺の手で持ってるこの腕の力が最後まで保たねぇからな。 「んん……も、ローション足す……」 「ごじゆうに」  滑りがあまい。友樹のモノがいいモノだからか?  いやぁ、俺としての立ち位置が恥ずかしくなるわ……小さいとか思われてたらどうしよう。けど毎回、気持ち良さげだから大丈夫だ、と……信じてぇな!  キャップを外す音を立てて、イヤにやらしい伝い方で液が垂れてきた。しかしその伝う液も俺からしたらなにも感じず反応なんて出来やしない。痛みの方が大きいからか……。  全然、痛そうに見えないのは我慢してるからだ。本当は声を大にして、叫びまくりたいのが本音だけどな。  あー、むりむり。抜いてくれほんとダメだ。痛過ぎて死にそう。  言えたらいいものを漏れる声で利用し、笑うしか吐き出せる方法がない俺だから――余裕そうに見えるだけで、本当はすっげぇ痛いっつの!  ローションを足してギュッギュと押し挿れてくる友樹を殴って中断してぇよ!  だけど攻めの不良くんもたまには見たいから!  自分の欲望を犠牲にこの痛みと分かち合うんだよ……!  世の中の受けってすげぇ。中沢と松村を本当に尊敬するかも。 「うっ、ん、ん……はあ」 「……あ、」 「ははっ……友樹はあれか。攻めだけど、声おさえないタイプか?」 「……」  喋る俺に、俺を見る友樹。トモくん呼びにするの忘れてるな、俺。――そこで、 「うおっ、なんだ」 「歩……」  友樹との距離が近くなったような気がして、それでいてゴリッとナカの違和感でビクついたカラダ。難関突破か? 「あー、トモくんやっと挿いった?」  その言葉に友樹は頷くだけで、カメラを手で退けては抱き締めてきた。激しくない流れは痛さだけで息が荒れることはそれほどないおかげでよく口が回る。 「あーあ、カメラ」 「ん……」  ちゅっ、と耳朶にキスをされて頭を撫でられる。  おいおい、なんだこのゲロ甘は。俺ですら纏ったことのない雰囲気に負を感じてツラい。  もしかしたら俺ってまだまだ攻めの要素が少ないんじゃねぇの?……それはいけないな! 「歩、」  完全に挿いったものの、落ち着くまで動かずにいた友樹は脳内に響くぐらいの甘い声で俺の名前を呼んだ。 「どうした?」  退かされたカメラでも角度が違うだけで、レンズはしっかり友樹に向けている。俺の手首はちゃんと友樹を逃さず撮ってるからな。  だから横顔でも映されている悲しそうなものも、あとで見れるお楽しみだ。 「……本当はすげぇ痛がってるだろ」 「そりゃ痛ぇよ。あ、今は平気だけど。トモくんは?」  背中に回したもう片方の手で見付けた古傷をなぞる。綺麗そうに見えるこの体は暴れてヤンチャをしたせいで出来た傷がいくつもそこら中にある。  そんな奴が、ここまで人を心配するなんて爆笑にもほどがあると思わないか?  あぁ、思わないか、残念だよ。 「……」 「……ぷ、はははっ」  待っても待っても口を開こうとしない友樹に我慢出来ず笑い声を上げる俺。  もういいだろ。甘くて良過ぎる雰囲気は堪能した。見習うべきところもなんとなく察したとしても、俺がそれをやるかなんて俺が決めることだ。  てかまあ、友樹しか抱く気がない時点で俺なりのやり方を通すしかないだろ。  抱き締められている腕をポンポンと叩いては離れさせる。 「ふぅ……ほら、トモくん。喘ぎ攻めもウマいから。ちゃんとここのカメラ目線を忘れずに腰振れよ?」 「……っ、」  挑発した言葉をどう受け止めたのか友樹は一瞬、細い眉をピクッと動かせて俺の腰を掴んでは奥まで突いてきて、さすがの俺も、笑いとか、出なかった。 「はぁ、ぁ……っ」 「んっんっあゆ、む」  突かれて勝手に揺れ動くカラダはどう頑張っても映した画がブレてしまう。  最初よりも痛みは和らいできたものの、違和感しかない突っ込まれてるソコはそれともがわからないままカメラを構えている俺。  突かれて舞い上がるというのはなかなかない。ただ、楽しい一部として、 「はっん、んン……とーもくん、はあっ」 「あんま、撮るなッ」 「うははっ……んー」  さらに間近で不良くん攻めを見れるのが良いってことだけだ。 「んあ、あっ……ちょ、なんでこのタイミングで、扱くんだよ……っ」  強いていえば奥まで入ってきた時に友樹のタマがにゅっと当たる時がいいかな。だからといってそれが気持ち良いかと聞かれたら笑って、それはねーよ、と答える。  でもまぁ、漏れる声はどうにも出来ない。走ってるように自然と吐くというか、感じてても感じなくても声が出るとか……。 「うっ、んん、押され気味感が、はんぱないな……ふははっ」 「あゆむ、ん……おま、全然わからねぇ反応すんなっ」 「はぁ、えー……?ははっ……んッ」 「……」  たぶん友樹には見破られてるんだろうよ。穴だけじゃどうにもならないと。だからこのタイミングでチンコ扱き。なんつーストレートな快楽の与え方だ。 「はぁァ……とも、きっ手、いいから、」 「ん」  ローションと友樹の唾液、それと出始めた俺の我慢汁で水音みたいに聞こえ始める。動かされる友樹の手は口にも負けずな触り方だ。  ハメ撮りというよりそっちを映して見習ったほうがいい気がしてきたぞ……。 「……ん、ぁ、」 「歩、かわいいな」  あー……。 「はッ、照れるなァ」  予想外な言葉に俺はたいして気にせず、また友樹が拗ねそうな反応で返してみれば、 「――……ふっ」  一瞬、一瞬な。  一瞬だけ、友樹が、笑った気がしてさ。  あんなにも不安いっぱいです、と表していた顔も、この時だけはなにもなくなってて……おぉ、これ成功なんじゃないか?と満足に浸りそうになる。 「あ、ゆむ、悪い……俺、がまん出来ない、か、も……っ」  そう言って腰の動きをはやめる。構えていたカメラももう一度、退かされたどころか手首を掴まれてほぼ動かせない。あ、いや、これでも撮れるか……?  微かな希望に成功したかと思えば失敗コースかもしれない展開。友樹さん、目的を忘れてねぇ? 「はあ、はあ……んぐっ、ん、トモくん、あんたほんとーに、」 「ちょっと、黙ってろッ」  とか言いつつ気を遣っているのか俺のモノの扱きも忘れずにしてくれて、亀頭を重点にカリッと爪で軽く引っかかれて震えた。    *   *   * 「はッ……あー!くそ痛かったぁ!」 「……やっぱ痛かったんじゃねぇか」  ――録画は終了。  持っていたカメラはベッドサイドに置いて、力なく横たわる俺は言いたくて堪らなかった一言を口にする。それを聞いた友樹はどこか呆れながらも焦ったように俺を見ていた。  興味に好奇心からの俺受けに不良くん攻めの動画はなんとか終わる。というか、なんとか俺もイケた状態で友樹は終始不安爆発、たまに攻め様表情だったんだけど。  俺が望んでいた前立腺もそれほど感じず、友樹の扱きでイッたようなもんだからな。どうやら数を積み重ねての気持ち良さらしい。  もしくは俺がソッチに合ってなかっただけか。 「友樹は俺のナカ気持ちよかった?」 「……」  違和感のある腰をフォローしながら横向きになり、枕に顔を埋めている友樹に問いかける。  それがまた可愛くて後ろにあるカメラへ手を伸ばそうとするが、なんだか疲労で届く気がしなかったからやめといた。  最大の犠牲をしてまで見れたものが、撮りたいものが、あったからいいかなって。こんな友樹はまた違う時に見れるだろうし、惜しむことはなにもない。 「ゴム越しでイケたからそれなりに良かったんだよな?てか余裕なくしてたもんな?」 「うあ、っ」  下着の上から友樹のナニに手を添えれば敏感は健在のままビクつき、揺れた体。 「くっ、はは……!友樹はもともと受けの質があったのかもな。俺とは受けで正解だったんじゃないか?」 「……うっせ。痛いんだろ、触ンな、寝ろ」 「友樹さんってばつめたーい」  退けられた手。かわりに、ばさっと掛け布団をかけられたがそれすらも俺の腐ィルター目は受け受けしい行動に見えてしかたがない。  最後の最後で晒し出た攻めの顔があっても、受け受けしい行動。  やっぱ友樹は受け立場であって俺の受けとかいらないんじゃねぇの?  初めてヤって気付かされた需要に再びこんな機会がやって来ることはないだろう、と確信。  俺の痛みでここまでわかったんだ。素晴らしい結果として見ておこうじゃないか。次こそはアナニーを見せてもらいたいもんだよ。  どうだ、この考え……良くないか?  せっかくかけてもらった掛け布団に俺は素直に従って目をつぶる。すると、 「……処女、ってか……初めてのケツをヤったのが、歩だったから……加減がわからなかったんだよ……」 「……」  瞑っていた目を開けて、目だけを動かして友樹を見ると耳まで真っ赤で微かに震えている姿。 「痛いのはわかってるのに、歩は飄々としててわからなくなるし、笑ってるし、だけどすげぇキツいし……」 『もっと大事に抱きたかった……』  そう言って友樹は目が合う俺を抱き締めてきた。  これ、抱きついてきた飯塚 友樹は俺の受けな?  そこ、忘れないように! 「ぶっは!あー、おかしー!あっはははっ、く、ふふっ」 「……」  友樹の胸で爆笑する俺に変わらぬ力で抱き締める腕を持つ友樹。流れで俺も友樹の背中に腕を回したけど、だめだ。笑っちゃってムリ。 「ごっめん、友樹……っ、そこまで俺を、おれを大事にっぶふ……!」 「……」 「健気っつーか、よく反抗心を見せないな!いやぁ、すごい精神持ち主だー」 「……」  どれだけ俺が笑おうとも、どれだけ煽っても、今の友樹はセンチメンタルに似たなにかに浸っているのか全然返しが来ない。  それはそれでいいんだが、やっぱ友樹にかんしてはカメラを常に向けていた方がいいのかもしれないな。  惜しむことはなにもない、とかバカか。数分前の俺はバカか。撮っとけばよかったぞ……。 「おーい、友樹。友樹ってば」  何度呼んでも反応なし。  腕枕やってもらいたかったんだけど。 「……そんなにテンション下がるなよ。誰だって初めては痛いんだからどうにもならねぇだろ?」 「あゆ、んぅ……、」  やっと開いたそこに口付けをして、ぺろりと唇を舐めた。 「友樹だって今の俺より超絶に痛かったろ。なにも考えずに突っ込んで腰振ってたんだから。だからお互い様でオチつけようぜ?」  とは言っても俺の方が断然、痛くなかったかもしれないけどな。いや絶対に痛くないわ。  あれだけのほぐし具合で俺に突っ込んでも痛かったんだから、友樹の時の方が絶対痛かったに違いない。  お互い様もいいところっつーか……。 「まあ、なんだ。友樹もこれでタチが出来る日も最後だと思っといてくれ。もう俺はこりごりだぁ」  そう告げながら背中まで回していた腕を離して、また盛大に仰向けのまま手足を広げて目をつぶる。  抱き締められてるのは変わりないからそんな動けなかったけど。 「歩、あゆむ、」 「……なんだよ」  だんだん眠くなってきた思考をなんとか動かして友樹に返事をする。 「……最後あたりの動画、あとで見せろ」  ……おぉ、なんという発言だ。ほとんど友樹しか映ってないのに見たいのか?  挑戦者だな。――と……ここまでなら、笑って頷きながら見せることを言おうとした。が、友樹は『最後あたりの動画、』と言ってたな。 「なんで?」  目をつぶりながら、眉間にシワを寄せて聞いてみる。そしたら友樹は俺の耳元で、いつもより少し低い声で『カメラ、向きがずれてて歩ばかり映ってた』と答えた。  まじか。受け目線のハメ撮りじゃなくなったってことか。まじか。 「……んー」 「よろしくな、歩」  耳元で囁かれる声はどこか楽しみにしているものに聞こえてしょうがない。  さっきまでの不安定さはどこにいったんだか……あれ、友樹さん。  やっぱり攻め要素があったんだ、な……? 「んー……」  それでも濁す俺はとりあえずやってきた睡魔で逃げようと、ちゃんとした返事をしないで夢の中に入っていこうじゃないか。  俺受けチャンスがまた舞い降りたとしても絶対に録画はしない事にしよう……。  カメラなしで、友樹が可愛いカッコいい発言をしてても惜しむ事のない精神力を俺は身につけようじゃないか。 【俺受けの可能性♂】 (END)  

ともだちにシェアしよう!