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【少々番外編】木下は嫌でもこう思う
「中沢のサングラス姿がさまになってて笑えるんだよ」
ぽ、と出したスマホ画面に写る人は友人の中沢 智志。その隣に松村もいたりする。
勝手に掛けられたグラサンに中沢は眉間にシワを寄せて不機嫌になりつつ、松村のおかげで写真が撮れたというわけだ。
平凡っ子でもグラサンを与えれば少しは威嚇が出るらしい。なんて男らしいんだ。
そんな写真を友樹に見せると興味があるんだかないんだかよくわからない表情を浮かばせながら写メを見ていた。
そしてあることを思い付く。
「友樹もサングラスしてみてよ」
そんな思い付き。
平凡な顔で迫力が出るなら本物の不良成りな友樹がグラサンを掛けるとどうなるんだ。
不良の〝ふ〟じゃなくて〝ヤ〟の付く、五十嵐組にいてもおかしくないような威嚇迫力が見れるのかな、って。
あまりにもくだらなくて俺のキョーミを抉ってくる図。
今の段階で、写真にうつっている中沢みたいに不機嫌面を浮かべているからツラい。
ツラ過ぎるぜ。はやく見たいや。
「じゃあ、はい」
善は急げ、なんて少し違ったところで使ってみたものの、パソコンの近くにあったサングラスを手に取ってさっそく友樹に掛けてみる。
喧嘩慣れしてても反射神経が悪いのか、それとも俺相手だから鈍ってるだけなのかは知らないが、なかなか俺の行動を避けようとしないよなぁ。
本当は友樹もかけたかったのか?
サングラス。
「おお、すげぇ似合ってるよ。かっけー!」
「……」
本当に思ってる事が伝わらな過ぎてマジでツラい。
日頃の行いのせいか。友樹はカッコイイのは確かだから信じてもいい気がするが……まあ、いいか。
「なっ、このままエッチしたらどんな気分になると思う?俺的にはあまり変わらないと思うんだけどさ」
なんて誘いに、友樹は舌打ち。そんな気分じゃなかったか、それとも、
「……あゆむが見辛い」
それとも――それとも?……それとも。
俺のことが好き過ぎるだけの、素直なのか……んんん、新しく出来た傷でも探そうかなぁ。
【木下は嫌でもこう思う*END】
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