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盗賊

王都に帰る途中、盗賊の一味に襲われた。 天雨さんは馬から降りて、一味を次々斬りつけて行ったのだけど、盗賊の放った矢が馬の腹部に当たり、暴れて落ちそうになった僕を庇い左の腕に怪我をした。 手を全く動かせない程になりながら、何とか追い払い近くの宿で手当てを受ける事になった。 「都に戻って治療すれば腕は何とも無い。罪悪感は持つな。」 そう言って頭を撫で慰めてくれたけど、僕はお荷物になるだけで、何も出来ない。 一人暮らしで生活に少し不便が生じるなと笑顔を見せられ、これがきっかけで別の番を見つけてしまったらどうしようと胸が張り裂けそうだった。 抑制薬は効いている筈なのに、天雨さんが欲しくて仕方無い。 僕が求めると、天雨さんは応じてくれて溺死しそうな程、甘く優しく僕を抱いてくれた。 耳を甘噛みしたり、首元を舐められたり…行為の後、腕枕をされながら天雨さんから求婚された。 「流鶯の母親に流鶯を好きだと告げた。俺の家に入る事を承知してくれたが、条件は息子の心次第だと言われた。返事は王宮に戻ってからでいいし、陛下の番としての役目を終えてからでもいい。必ず、答えを聞かせてくれ。」 僕の心は決まっていた。

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