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第7話
「こんな関係を持てるなんて思ってなかったんで……ごめんなさい」
男同士で抱き合うならどちらかが挿れられる側になるとはわかっていたが……俺か。
ハンドクリームを大久保君の指が俺のアナルへと塗り込んでいく。
この歳でこんな初めての経験をする事になるとは……触られた事も触った事もない箇所を丁寧に解されて……大久保君に与えられる初めての刺激に眉間にシワが寄る。
年上のリードなんて全く出来ずに快楽に流されていく。
「鷹野さん……好きです……」
好きだ……愛してるを繰り返しながら大久保君の手のひらが身体中を愛撫して……触られた箇所が熱を帯びる。
こんなおじさんの体を撫でたってつまらないだろうに……。
「鷹野さん……良いですか?……もう我慢出来ない」
ピタリとあてられた熱に体が強張った。
お……俺なんかで本当に勃つんだな……。
必死に平静を装いながら……未知への恐怖に震える指先で大久保君の肩を掴み小さく頷くと……ミチミチと肉を押し広げながら大久保君のペニスが入り込んで来る。
「はっ……はあっ……う……」
探る様にゆっくり……ゆっくりと侵入してくる熱にチリチリと脳が焼かれ、ゾクゾクとした感覚が首筋から背筋へ抜けていく。
「あ……あぁ………」
異物感と共にじわじわと擽ったさと気持ちよさが入り交じった物が広がっていく。
ぽたぽたと枕を濡らす涙が恥ずかしくて腕で顔を隠した。
「痛かったですか?ごめんなさい……優しくしているつもりなんですが……」
「違う……幸せ過ぎて……申し訳なくて……」
大久保君に愛されている幸福感と共に、俺だけ幸せになろうとしている罪悪感が込み上げる。
腕を掴まれて大久保君が顔を覗き込んで来る。
「鷹野さん……奥さんは貴方の不幸を願うような人だったんですか?」
「そんな訳無い!あいつはいつも俺の幸せを願って……!」
「だったら……貴方が幸せだと思う道を進むべきです……それが俺との未来なら嬉しい」
俺と大久保君の未来……。
「俺は……幸せになっても良いのか?」
『貴方が……私に囚われすぎないか……心配だわ……』
死を覚悟した彼女は……最期まで俺の心配をしてくれていた。
それなのに俺は拭えない罪悪感を彼女へぶつけ……優しい彼女の姿を歪めてしまった。
彼女を言い訳に……逃げていた。
ブワッと心の中に雪を溶かす春風のような温かい風が吹き渡っていった。
「……俺は……俺は……君が好きだ……大久保君」
口に出すと好きだと言う感情が溢れ出す。
彼女の事を今でも愛している。
それと同じくらい大久保君がいとおしい。
「鷹野さん……俺も愛しています」
しがみついた俺を……子供をあやすように大久保君は沢山のキスと快感と……柔らかな温もりで包み込んでくれた。
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