「井川クンてさぁ、結構やきもち焼きかもしれないね。智クン大変だよぉ」 　仲宗根さんが帰ってやっといつもの雰囲気に戻ったと思ったら、梨奈ちゃんがそんなことを言い出した。 「私もそう思うな。あっ、なんか流れで、智クンと私が付き合ってるってことになったみたいだけど、それには井川クンはやきもち焼かないでね」 「ゴメン、愛理ちゃん」 「別にいいよ。私今彼氏欲しいとか思ってないし」 　亮介はずっと仏頂面のまんまだ。 「亮介ぇ、ゴメン……」 「いや、智はいい」 　とは言ったものの、やっぱりちょっと不機嫌なままだ。 「とりあえず今日は解散しよっか。……なんか疲れたし」 　そんな信一の言葉で解散となった。 　息抜きで集まったハズなのに、結果的にどっと疲れて解散。オレもグッタリだよ。多分オレが一番グッタリだと思うんだけど。 　みんなと別れて亮介とふたりきりになっても、やっぱり亮介は機嫌悪そうだった。 「亮介ぇ、まだ怒ってる？　ゴメンな」 「……………」 　オレは内心ため息をついた。 　気まずい雰囲気の中黙々とふたりで歩く。どうしたら良いんだろうね？　でもどうして良いか分からなくて、結局ただ黙って亮介の隣を歩いていた。 「智こっち！」 「えっ、あっ、ちょっ、亮介？」 　突然亮介がオレの手を引いて歩きだした。オレたちが向かっていたのとは別方向へ。 　連れてこられたのは……ラブホ。 　ラブホなんて初めて来たよ。へぇ、こんなんなってるんだぁ……って、関心するヒマなんか全く無かったよ。部屋に入った途端、抱きしめられてキスされて、でもって今はベッドの上で服を脱がされてるところだし。 「亮介ってば、どうしちゃったの？」 　亮介の手が、唇が、オレの感じるとこを攻めてきて、喘ぎ声以外でまともに言えたのはそれだけ。性急に煽られて、オレももう臨戦態勢だ。 「智はオレのもんだから」 　そう言いながら、噛み付くようなキスをしてきた。 　何コレ？　すげー可愛い。 　独占欲まる出しの亮介だ。めちゃ可愛いんですけど。 　あまりの可愛さに、思わずオレもこう言っちゃってた。 「うん。オレは亮介のものだよ」 　ちょっとだけ亮介は落ち着いたみたい。 　オレは今まで、亮介のことは格好いいと思ってはいたけれど、可愛いと思ったのは初めてかもしれない。でも、今の亮介はやっぱり『可愛い』だ。 「亮介、好きだよ。だからさ……、つづき、しよ」 　そう言ってオレは、亮介の唇を引き寄せた。 　一戦終えて風呂の中。 　ラブホの湯船って広いんだね。しかもジャグジーまで付いてるし。ふたりで入っても狭くないってのは嬉しい。 　風呂に入ってるオレたちの体勢はいつも通りだ。亮介がオレの背中にひっついて……って言うより、オレが亮介にもたれてるってのが正しい表現なのかも。 　せっかくなんでジャグジーにしてみたよ。なんかちょっとくすぐったい。でも気持ちいい。 「智、オレの方向いて」 「ん？」 「顔だけじゃなくて、身体ごと」 　素直に亮介の方を向いた。向かい合って、亮介の太腿にまたがるようなカンジ？ 「これでいい？」 　すかさず後ろから亮介の指が中に入ってきた。 　さっきまでもっと大きなモノでいっぱいになっていたそこは、指を簡単に飲み込んでいく。亮介の出したものがまだ残っていて、動きも滑らかだ。 「んっ、あっ、お湯が、あっ、入って、んっ、んっ、ゃあっ」 　指と一緒に入ってくるお湯が、くすぐったい。 　亮介の指はすぐにオレのいいところを擦ってきて、たまらなくなる。 「自分で入れれる？」 　オレの腰を持ち上げて、亮介のモノを入り口にあてがってくる。 　オレはゆっくりと腰を落としていった。 「あ……っ、は……っ、これ以上、ムリッ、自分じゃムリッ」 　途中までは出来たけど、そっから先はムリだった。あと少し腰を落とせば、亮介のモノで奥まで満たされる。オレはそれが欲しい。欲しいんだけど……身体がすくんでしまって、出来ない。 「ひっ、ぃああぁぁぁ――」 　腰をつかまれて、一気に奥まで落とされた。その衝撃が一瞬にして快感に変わり、充たされる。でも、もっと、もっと欲しい……。 「亮介ぇ、いい……、気持ちいぃ、嗚呼もっと、もっと、んぁぁああぁぁぁぁ」 「智の中ウネってる。あぁ、もってかれそぅ」 　水の浮力を借りて亮介がオレを上下に揺さぶる。それに合わせてちゃぷちゃぷと水音がする。気持ちよくて、このままオレ自身が溶けてなくなりそう。 　亮介がオレの中でイったのと、ふたりの間に白いモノが漂ったのは、ほぼ同じタイミングだった。 「最近ますます感じやすくなったよな」 「うぅ……、オレもそう思う。ちょっと怖いよ」 「今掻き出したら、またイっちゃうんじゃね？」 「それ……は、亮介が感じるとこ刺激しちゃうから……で」 「んじゃぁ、もう一回イっちゃおうか」 　にっこり笑って言うなよ。 　もちろんオレはイっちゃったよ、感じちゃったよ。もう……。 　最近本当に感じやすい。しかももう、後ろの刺激だけで簡単にイっちゃうんだ。オレの身体、だんだん女みたいになってきてるような気がする。