13 / 19
Ⅲ どれだけも、どんなにも……②
「そんなのっ」
「本当だ」
「でもっ」
「時の逆行を止められるのはリンリーだけだ。私も死にたくないからね。
……だからリンリー側に寝返った。リンリーは、私を迎えに来たろう」
「……どうして、撃ったの」
「なに?」
雨よりも透明な涙に濡れた瞳が、目の前にいた。
「リンリー側の人間なら、どうして味方のリンリーを撃ったんだよ」
ブラック……あなたは……
「残された命でリンリーを殲滅 させるために、独りになって。だから、俺を皆に……家族に託したんじゃないのかッ」
かつて父さんがそうしたように、あなたも!
「君は……」
口許に零れた笑みは本心だ。
「大きくなったね」
………………チュッ♥
「愛している、ピンク」
ぱちくり
涙に濡れた君の瞳が瞬いた。
「都合のいい話だね」
ごめんね、ピンク。
君を愛してしまった私は、命が惜しくなってしまったよ。
この銃で……
『貴方』を撃ったこの拳銃で、紅く染まった右眼を撃ち抜けば……あるいは呪いも……
パンッ
ともだちにシェアしよう!