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第11話

 遊園地。  華屋敷。  最近できた遊園地で、たくさんの親子連れがいた。  今日は平日だから、休日は今日よりもたくさんの人が訪れていると思うと、少し引いた。 「緊張してる? 恩恵くん」  栄彦さんに訊かれ、私は首を横に振る。 「人の多さに、吃驚してるだけ」 「そう」 「は、栄彦さんは?」 「うーん。少しだけ緊張してる」 「何で?」 「俺のこと、好きだって言ってくれた男の子と一緒だからね」 「っ!」 「嬉しいよ、本当に。こんなオッサンで良いのかな? って、思うよ」 「…………」 「ありがとう。でも、俺は君の気持ちに、今は答えられないな」 「私が、子供だからですか?」 「うん」 「…………」  私が大人になったら。  栄彦さんよりも、背が高くて、力が強い大人になったら。  カッコイイ大人になったら。  栄彦さんは、私を好きになってくれるかな。  足を止める私の一歩先を進み、立ち止まり、振り返る栄彦さん。  心配そうな顔をし、私に言う。 「どうした?」 「ううん」 「そっか」  栄彦さんは、私の手を繋ぎ、少し強引に引く。 「なら、早く行こう。時間は限られてるから!」 「うんっ!」  私は頷き、栄彦さんに引かれる。  栄彦さんに、惹かれる。  今は、それで良い。  それが良い。  やっぱり。  好き。  とっても好き。  笑う私に、栄彦さんは笑いかけて。  そして、遊園地の門を通った。

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