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第31話
「アシュリーはわかってない。僕はもうアシュリーなしじゃ生きていけない。独り占めしたい。僕が誰かと付き合って、アシュリーも違う人といて、それで独り占めできないなんて嫌だ。
…それに僕が若いって10くらいしか離れてないし。まだアシュリーだって20代でしょ。
しかも、僕が言い出したことなのに。僕だってアシュリーともっと恋人らしいことしたいのに、アシュリーにはやっぱり僕じゃ釣り合わない?」
…ああ、言いたい放題のわがままだ。こういうことを何も考えずに言ってしまうから、子供だと言われるのだろう。
ついでに自分の不安までぶつけてしまった。
失望されるかな?と恐る恐る彼の方を見ると、目の前には彼はいなくて、その代わりに後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「そんなつもりないよ。テオだけだよ。
…テオはいつからそんなに強くなったの。どんどん大人になっていくね。…可愛くて参ってしまう。
俺もテオもそういうことをしたいのなら、それを断る理由なんてどこにもない。でも、俺と一つ約束をしてくれない?」
耳元で、優しく囁かれて、脳に直接響くような声にぞくりとする。くすぐったくて、甘い音。
逆らうわけもなく、小さく頷く。
「ありがとう。
俺はもちろんテオとそういうことをしたいよ。これから少しずつ、色々なことに慣れていこうね。
でも、セックスをするのは、テオがちゃんと18になるまでは待っていて欲しい。」
…18?とアシュリーの方を見上げると、うん、と頷かれた。
「とても大切なことだから、ゆっくり進めていきたいんだ。でもテオが嫌じゃなければ、俺が前テオにしたみたいなことはしたいかな。
本番をするとなると、身体にも精神にもかなりの負担をかける行為だから、ちゃんと成人するまでは待っていたい。いいかな?」
とても真剣な声。もちろん僕もアシュリーの考えに納得した。大切にしてもらえている、ということがよくわかったからだ。
それに、前にアシュリーにされた処理を、されたり今度は僕がアシュリーにするのだろうか、とそんなことばかり考えてしまった、不埒な自分に反省した。
顔を真っ赤にして聞いていたら、アシュリーに耳元で夜が楽しみだな、と囁かれてさらに顔が熱くなった。
そんな空気で食事を済ませた後、夜には戻るからと彼は仕事に行ってしまった。
行くときにかけられたちゃんと起きて待っていてね、という声がやけに艶めかしく響いて、そのせいで頭がとてもおかしくなった気がした。
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