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第33話

その恥ずかしさに耐えられず背けようとした顔は、優しい手つきでしっかりと見える位置に戻される。 そして細長い指がそこに触れた。 「…やっ…」 小さく漏れた声は、自分のものとは思えないほど高くいやらしかった。アシュリーの指がまた汚れちゃう、というと、じゃあ俺のも触ってくれる?と予想してなかった答えが返ってくる。 ごくりと唾液を飲み込んでから静かに頷くと、目の前の彼が服を脱ぎ始める。 彼の上半身があらわになる。服の上からだとほっそりとして見えた身体は意外と筋肉質で、そのラインはとても美しかった。胸板も思っていたよりずっとたくましい。 「そんなに見て、かわいい。」 見惚れていると、いきなり耳元で囁かれた。 その声で、その表情で、その体で… 考えるたびに周知が増していくのを感じる。 その間に彼の下半身があらわになっていった。 アシュリーのそれはとても綺麗な形をしていて、どこまでもこの人は綺麗なのだと思った。 それでもそこは熱を帯びていて、それが自分のせいなのだと思うととても愛らしい。そこに指を絡めると、思いの外熱い。 アシュリーでもこんな風になるんだ、と驚きながら、自分がされて気持ちいいように手を動かしていく。 「…っテオ、上手」 そして、その甘い声を聞いた瞬間、僕は恥ずかしくもあっけなく達してしまった。今までの中で1番、甘くて艶かしい声だった。 そしてそれに刺激されて達した快感は、前のものよりもずっと強い。 その声が出た唇に、思わず自分のそれを重ねてしまった。 やがて彼も達すると、それをお互いにタオルで拭い、その甘い行為が終わりを告げた。 「ちょっと狭いけど俺の部屋で一緒に寝よう。」 歯を磨いた後自分の部屋に戻ろうとすると、そっと肩に手を置かれそう言われた。まだ恥ずかしくて彼の顔が直視できない。 「これ以上アシュリーのこと見たら、蒸発する…」 そう言って戻ろうとすると、だめ、と甘い声で止められた。 「俺はテオの顔が見たい。」 彼の美しさは本当に犯罪レベルだと思う。いたずらに微笑む表情に、また疼きだした心臓は鳴り止まない。 結局彼の部屋のベッドに戻ると、ぎゅっと抱きしめられ、額に口付けられた。 「テオ、ありがとう。」 またそうやって感謝してくる。僕は何もしていないのに。 「それは僕のセリフだよ。」 アシュリーの隣では心臓がうるさくて眠れない、と思っていたが、意外にもそんなことはなかった。 「気持ちよかった? 」 アシュリーが僕に腕枕をしながら横を向いて聞いてきた。声にもうあの艶かしさはなく、優しい声で、優しく微笑んでいる。 「…うん。」 恥ずかしいと思いながらしっかり肯定をしめすと、よかったと横からぎゅっと抱きしめられる。 そういえば今までずっと一緒に生活していたのに、同じベッドで寝たことはなかった。普段より少し高い眠りにつく前の体温は、少しあつくて、それでもとても心地よい。 静かな夜に、月明かりに照らされた彼の美しい横顔を眺めながら、優しい腕に包まれて、大きな安心感に包まれた。 そしてその安心感の中で、僕は深い海の中に溶け込むような、人生で今まで一度も味わったことのないような心地良い眠りに入っていく。

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