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ちんリウム・オブ・ザ・ドリーム

「ずっとこうしたかった……」 低く耳障りの良い声が、うっとりと言葉を紡ぎ出した。 鼓膜を心地よく震わされ、ブラックは思わずゴクリと唾を飲み込む。 ピンクは、驚きを隠さず自分を見上げてくる漆黒の瞳を見下ろした。 その呪われた右眼が、ちんリウムの光を反射して紫水晶(アメジスト)の煌めきを灯す。 こみ上げる懐かしさを抑えきれず、ピンクは筋張った手を伸ばした。 目元をつうっと辿るように撫で、そのまま形の良い唇までゆっくりと南下する。 親指で形の良い薄い唇をなぞり身体を傾け、ガブリと噛み付いた。 「んんっ!」 獣のような勢いで吐息を奪われ、ブラックが瞠目する。 ピンクは厚い舌を無理やりねじ込むと、欲望のままに暖かい口内を蹂躙した。 逃げ惑う舌先を、喉の奥まで追いかけていく。 クチュクチュと泡立つ水音を聞きながら、ピンクはブラックの身体に覆いかぶさった。 瞳と同じ漆黒の髪に手を差し込み、空気を求めて喘いだ唇に吸い付く。 溢れ出た唾液で口の周りが(ぬめ)るのも構わず、何度も角度を変えて口づけを施した。 「ブラック……」 「んっ」 「ブラック……ブラック……」 愛しい人の名を呟きながら、愛しい人の唾液を全て啜り上げる。 「んーっ!んーっ!」 ふいに胸板にドンドンと鈍い衝撃を感じて、ピンクは動きを止めた。 「ぷっ……は」 「ハァハァ……ピ、ピンク?」 「ん?」 葡萄色の瞳が、無邪気に輝く。 ブラックはもう一度ゴクリと喉を鳴らし、いつの間にかすっかり逞しい青年に成長したピンクを見上げた。 言いたいことはたくさんある。 山ほどある。 その中でも一番に問いただしたいのっぴきならない事態。 それは、 「ピンクちゃんは一体なんでそんなにもちんリウムを滾らせているのかな……?」 「えー?それは……」 「ひぁう!」 「ブラックのここに突っ込むため?」 これっぽっちの邪もない顔で、ピンクが笑った。 ああ、素直な良い子に育ってくれてよかった。 きっと今のピンクを見れば、先代司令塔もよくやったと自分を褒めてくれるだろう。 もしもその手が自分の尻の割れ目をスリスリぐりぐりしていなければ、完璧だったのに。 「ピ、ピンク、だめだよ」 「なんで?」 掴まれた手首をぐぐぐぐぐ……と押し切り、ピンクはその身体をブラックの脚の間に滑り込ませた。 「お尻でちんリウムするの、すっごく気持ちいいじゃん」 「なっ……」 「だからブラックにもすっごく気持ちよくなってほしいって、ずっと思ってたんだ」 「ちょっ……」 「よいしょ、できた!ブラック、痛くない?」 「ああ、痛くはないよ……じゃない!」 あれよあれよといううちに手首と足首を繋ぎ合わされ、ブラックの全身から冷たい汗が吹き出てくる。 いったいこの手際の良さは誰に似たんだ? まさか私か!? いや、そんなことはどうでもいい。 今大事なのは、変態レンジャー総司令官ともあろう自分が、大股をおっ広げて秘めた穴をオープンにされているこの状態だ。 なんとかしなければ。 「ピンク、これを解いてくれないかい?」 「やだ」 子供のように言い切り、ピンクは黒いマントを一気にはだけさせた。 一糸まとわぬ引き締まった姿が露わになり、上から下まで視線を這わせたピンクが、また上に戻りかけて、途中で止まる。 その視線の先には、ブラックの大きなちんリウムがぶら下がっていた。 「あれ?なんでちんリウム光ってないの?」 「当たり前だろう?突然こんなことされたらさすがの私も……あ、こら!」 「じゃあ俺が光らせるね!」 「うっ……」 夢だ。 これは夢だ。 そう言い聞かせるが、ねっとりと舌が這う感覚はリアルでとても誤魔化せそうにない。 ピンクは「んく、んく」と喉の奥で呻きながら、大きなちんリウムを一生懸命頬張っている。 上手いかと問われたら、頷くのに躊躇ってしまうくらいの拙い動き。 それでも、自分の股ぐらに桃色の頭が吸い付いている光景はなんとも扇情的で、いつもはそう簡単に揺らぐことのない理性の足元を刺激してくる。 これはまずい。 大いにまずい。 ブラックは、わざと表情を厳しくさせ、ピンクを睨んだ。 「ピンク、いい加減にしなさい」 「やら」 「ローゼオン!」 上下に動いていたピンク色の頭が、ぴたりと止まった。 巨大ちんリウムの先端を口に含んだまま、ピンクが恐る恐るブラックと視線を合わせる。 「怒るよ、ローゼオン」 藤色の瞳が――揺れた。 ブラックに拾われてから、十五年余り。 どれだけ身体が大きく成長しても、ひとたびその名を呼ばれれば、ピンクは哀れでちっぽけな子供に戻ってしまう。 ブラックの前では、何年経っても自分は子供なのだ。 「ずるいなあ、ブラックは」 淋しそうに微笑み、ピンクがブラックのちんリウムを吐き出した。 ブラックがこっそり安堵の息を漏らした、その瞬間―― 「ひっ!?」 唐突にドロリと冷たいものを尻肉にぶっかけられ、ブラックの声が上ずった。 「でも、だーめ」 「なっ!?」 「今夜はやめないよ。ブラックに気持ちよくなってもらうんだもん」 「き、君はそんなことしなくていいんだよ!」 「だめだよ、ブラック。抵抗しないで?だって抵抗されたら……」 ――燃える。 *** これは夢だ、そうだろう? 「ブラック、大丈夫?痛くない?」 「あっ……ふっ……」 「ぬめぬめ足りてる?」 「んっ……!」 「いっぱい準備しておいたから、足りなかったら言ってね?」 「あ……、あ!」 「ブラックのそんな声初めて聞いた。もっと聞かせて……?」 嘘だろう。 お尻の穴がこんなにも気持ちいいなんて。 「指、二本入ってるよ。もっと増やした方がいいよね?」 「あぁ……!」 「三本、入ったよ。中指がね、当たってるの」 「んんっ!」 「俺もね、ブラックの指がここに当たるといっつもすごく気持ちいんだよ。ブラックは?気持ちいい……?」 「そんなことっ……」 言いかけた言葉は最後まで音にならずに、喉の奥に飲み込まれていく。 ピンクの指が、一気に引き抜かれたからだ。 霞みがかった視界の向こう側で、なにかの音がする。 ああ、この音には聞き覚えがある。 これは、 『光る!すまちんくんスリム』の袋が擦れる音。 「ま、待つんだ!」 「ブラック?」 「君のSサイズのちんリウムごときじゃ、とても私を満足なんてさせられないよ!」 ピンクの表情が曇ったのが見え、ブラックの胸がチクリと痛んだ。 ごめんよ、ピンク。 決して君の心を傷つけたくて言っているんじゃないんだ。 ただ、私のお尻はとても繊細で大切な―― 「ふ……ふふっ」 「ピンク……?」 「Sサイズ?なに言ってるの、ブラック」 「えっ……?」 「この間一緒にXLサイズのちんリウムカバーを買いに行ったばっかりじゃん。忘れたの?」 ち、ちんリウムカバー? いや、そんなことはどうでもいい。 なんだそれは。 ピンクの股間で光放つその巨根はなんなんだ!? 「まさか私のよりでか……!?」 「どうかな?ム・ナーゲの量に比例して大きくなってるみたいだけど……」 「ム・ナーゲ?生えたのかい!?」 「うん、ふっさふさだよ!」 ガバァっと開かれた胸元を見て、ブラックは眩暈を覚えた。 ついこの間までツルツルで幼かったピンクの胸板が、覆われていたのだ。 ショッキンピンクのム・ナーゲに。 ほろりと涙が零れた……いや、さすがに零してはいないが、心の中でブラックは嘆いた。 俺のピンクが……あんなに可愛かったピンクがっ……、 もっじゃもじゃ。 「すごいでしょ?父上にも見てもらいたかったなあ……」 「ピンク……」 「ム・ナーゲが生えてきたらさ、ちんリウムも一緒にどんどん生えてきたんだよ!すごいよね!?」 『光る!すまちんくんスリムXLサイズ』にギッチギチに包まれたちんリウムが、揺れる。 プルルンプルルン。 なぜだろう。 一緒にちんリウムを振りたいはずなのに、 ピンクの笑顔が、怖い。 「あっ!?」 男らしい手がブラックの柔らかい尻肉を掴み、左右に割り拡げた。 「ねえ、ブラック。力、抜いて?」 「あ、だ、だめ……っ」 「優しくするから」 「あっ……!」 「ブラック……好きだよ」 「あ、あ、あ――っ!」 *** 「んん……っ」 ブルっとと全身を震わせた幼子を見下ろして、ブラックは笑みを深めた。 遠ざかっていた距離をゼロに戻し、細い身体をそっと抱きしめる。 「よしよし、大丈夫だよ」 闇の中でも淡く輝く桃色の髪をゆっくりと梳くと、乱れていた呼吸がだんだんと落ち着いていく。 ブラックは、愛おしさを隠さずうっとりと目を細めた。 腕の中で眠る少年の名は、ローゼオン・ム・ナーゲ。 亡き先代の忘れ形見。 ここに来たばかりの頃は固く心を閉ざし、まるで野生動物のように牙を剥いていた。 小さな身体でひとり、どんな辛い目に合ってきたのか。 考えただけで、ブラックの胸がぎゅうっと締め付けられた。 先代から託されていたのに、血筋を頼って手放した自分が馬鹿だったのだ。 それでもこうして再会できたのは、不幸中の幸いだった。 時間はかかっているが、少しずつ自分を信用し懐いてくれる姿は本当に可愛らしい。 最近は変態ピンクとしての訓練にも励み、他のレンジャーたちとも徐々に打ち解けてきている気がする。 それでも過去に追いつかれひとりで寝られない夜は、こうして人肌を求めてマントの中に潜り込んでくるのだ。 離れまいと擦り寄ってくるいじらしい姿が、可愛くてたまらない。 「ブラック……」 ほんのりと赤みを帯びた唇が、ぼそっと呟いた。 ブラックの笑みが濃く、深くなる。 手触りの良い髪を優しく撫で、形の良い小さな耳に唇を寄せ、囁いた。 「私の夢を見てくれているのかい?」 fin... と見せかけて、『愛について~Eros~ 前編 -《side》BLACK -』につづく♡ https://fujossy.jp/books/11070/stories/222821

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