20 / 50
2人で最後の ①
ピーッ!
「皆、集合」
9月も末になれば体育館もだいぶ過ごしやすくなった。
新田が激を飛ばす。
「いよいよウインターカップの予選も約1ヶ月に迫った。
もちろん今まで見てきたが、この2週間くらいでレギュラーを決める。
みんなしっかり練習をして欲しい」
「はい!」
「そして今日は見せたいものがある。
おそらくもう一生見れないだろう。集中して自分のものにしろ。
スピード重視のモノとパワー重視の1ON1だ」
「根屋、準備しろ」
「え?俺?キャプテン人使い荒いなあ~」
根屋はジャージを脱ぎユニフォーム姿になる。
「ほーい。準備したよー。俺の対戦相手。誰ー?」
「お前と対戦するのはこいつだ」
教官室から出てきたのはユニフォーム姿の柴崎だった。
「柴崎!」「柴崎・・・」「柴崎さん」
全ての視線は柴崎に向けられたが、皆の心は複雑だった。
ユニフォーム姿がよく似合う。
こいつだったら絶対にレギュラーに入ったのにと・・・。
「ご家族からいただいたのは5分だ。
5分間お前たち、まばたきするなよ?」
「またキャプテン無理ばっかりー」
「お前、また俺に隠し事かよ」
「隠し事じゃないですよー。練習が本格的になる前に
思い出作りたくて。キャプテンも一緒に頭下げてくれたんです」
「それに最後の思い出なんて好きな人とするのがド定番でしょう?」
ともだちにシェアしよう!