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2人で最後の ①

ピーッ! 「皆、集合」 9月も末になれば体育館もだいぶ過ごしやすくなった。 新田が激を飛ばす。 「いよいよウインターカップの予選も約1ヶ月に迫った。 もちろん今まで見てきたが、この2週間くらいでレギュラーを決める。 みんなしっかり練習をして欲しい」 「はい!」 「そして今日は見せたいものがある。 おそらくもう一生見れないだろう。集中して自分のものにしろ。 スピード重視のモノとパワー重視の1ON1だ」 「根屋、準備しろ」 「え?俺?キャプテン人使い荒いなあ~」 根屋はジャージを脱ぎユニフォーム姿になる。 「ほーい。準備したよー。俺の対戦相手。誰ー?」 「お前と対戦するのはこいつだ」 教官室から出てきたのはユニフォーム姿の柴崎だった。 「柴崎!」「柴崎・・・」「柴崎さん」 全ての視線は柴崎に向けられたが、皆の心は複雑だった。 ユニフォーム姿がよく似合う。 こいつだったら絶対にレギュラーに入ったのにと・・・。 「ご家族からいただいたのは5分だ。 5分間お前たち、まばたきするなよ?」 「またキャプテン無理ばっかりー」 「お前、また俺に隠し事かよ」 「隠し事じゃないですよー。練習が本格的になる前に 思い出作りたくて。キャプテンも一緒に頭下げてくれたんです」 「それに最後の思い出なんて好きな人とするのがド定番でしょう?」

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