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あなたのための肩書きなんですよ?

レギュラーはトラブルもなく満場一致で決まった。 そして10月下旬、俺達の最大で最高のシーズンが始まる。 「根屋先輩、明日からいよいよ予選が始まりますね。 初戦の桜葉って去年、当たってないですよね?どんな感じかなあ?」 「お前さあバカじゃねーの?俺達はウインターカップに出るんだぞ? 県内予選の三下に負けてるわけないだろーが」 「いや、まあ、そうですけどね・・・。一年にとっては初めてですし、 空気感を味合わせてあげたいっていうか」 「そんなのんきな事言ってたら負けるぞ!」 「一年でもケツの穴締めて見ておけって言っておけ」 「もう。根屋先輩がそんなだから後輩が怖がるんですよー。 新田キャプテンみたいにソフトにいきましょうよ?」 「あいつもうキャプテンじゃねーじゃん。ウインターカップフォローキャプテンだろ?」 「無理ですよ。他の部活と違って一番大きいの年末ですもん。 二年の重責考えてあげてください?」 「ったく友達作りに来てるんじゃねえんだ。ヘタレてる場合かっつーの」 「そうですね。根屋先輩はいつも恋人が見守ってますから心配ないですけど」 急に真っ赤になった顔を隠すように横を向き、 「おまえのそのフォローマネージャーって肩書きなんだよ!」 「ああ、それ?新田さんたちのご厚意です。なにか肩書きつけて登録しておけば、 ハーフタイムなどにお手伝いできますし」 「ふーん。それでやっていくのか」 「ま、いつまでかは、わかりませんけどね」 「え?」 驚いた顔で根屋は柴崎を見る。 「もともと怪我の時点で辞めるつもりでしたし、先生や新田さんのおかげで 今回はこうなりましたが、多分このウインターカップで俺も最後になると思いますよ。 今の一年、事故の事詳しく知ってる子、あまりいないし」 「そ・・うか・・・」 はきはきと話す、柴崎とは対照的に根屋は視線を落とす。

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