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開戦!
いよいよスタートウインターカップ開幕。
全国の強豪が50校集まり、日本一を決める。
会場の雰囲気に少し気後れしている一年もいるが、この空気に慣れてもらわないと
来年の地区予選のシードは取れない。
応援席に向かう一年に、
「みんな、体硬くしないで!応援だけに集中して。
だけど、君たちのお手本だった先輩達の動きには目を離さないでね。
対戦相手なんて、毎年変わるんだからさ!柔らかくねー」
笑顔交じりに一年に声をかけて緊張をほぐす。
柴崎の隣にいた新田が
「お前、うまいよなー。プレイしないキャプテンてどうよ?」
「何ですか新田さんいきなり。自分で言うのもなんですけど、不幸でしたよ。俺」
「いきなりバスケ奪われましたからね。でもここにいることで俯瞰でみんなを見て、
長所短所がわかるようになったし、まあ少しは力の引き上げに協力できたかなとは思うけど」
『たいせつなものもそばにいてくれるし』
「・・・そうか、じゃあお前も最後のウインターカップだな」
そう言われ、にこりと柴崎は笑った。
一回戦の相手は桜庭。初対戦だ。
データとしてはあまり大柄な選手はいなかった。
パワーより、スピードとゾーンディフェンスが得意なのか?
でもパワー重視じゃなければ、根屋先輩の得意分野だ。問題ない。
柴崎が思った通りウチの司令塔は完璧で、終わってみたら
101-84快勝だった。
控室でリラックスしている選手たちに柴崎が口を開く。
「皆さんまずは一勝おめでとうございます。
得点差は範囲内だと思います。でも3ポイント一度、フリースローも得意だったみたいです。
どちらも取られたのが第3Qです。そこに注意をしていってください。
二年のみんなもスタミナ切れが目立つから、ペース配分気を付けて」
「さ、次も試合です。念入りなストレッチや休憩をとってくださいね」
「なんかアイツ新田みたいだなー」
三年たちが呟く。
「それは褒め言葉かな?」
振り返るとにっこりと微笑む新田がいた。
「そうしておくさ」
「惜しいな」
「ああ、それは俺もそう思う」
三年生の間でも柴崎の実力は誰もが認めていたからだ。
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