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3人のデート?
なんだアイツ・・・てか、今日決勝だろう?
「あ、おはようございます根屋先輩。早かったですね」
「おー柴崎」
近づくと小声で
「わー。五月の私服姿、激萌えー!」
「うわー。ドン引きー」
「おーい。早いな二人共」
「おはようございます。新田さん」
「は?は?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?今日は三人でデートですよ?」
「なんだよ。それうぜえ」
「根屋。決勝見に来たんだよ」
「俺たち皆引退だし、関係ねーじゃん」
「まあまあ。最後の日本一の試合を見に行きましょう」
『なんだよ。何でこいつら平気なんだ?俺たちはソコを目指していたんだぞ!』
「わー決勝だけあって混んでますね。座れるかな?」
「あ、あそこ空いているぞ」
「あー、コートが少し見切れるんですね」
「根屋先輩。席ありましたよ」
不機嫌そうに根屋はどっかりと座り込む。
「新田さんはどっちが来ると思います?」
「んー。向こうが全体的にデカイな。どれくらい機動力があるかだな」
「対戦相手の方は小柄ですね。小柄と言ってもウチよりデカいけど」
こいつら何盛り上がっているんだ。お前たちの方がよっぽどバスケデートだよ。
ピーッ!
試合が始まった。三人はコートをのぞき込む。
「PGデカいですねえ」
「ああ、だが戻りと指示が早い」
「リバウンド早っ!」
最初はふてくされていた根屋もコートに目をやる。
『あ、これは勝てねーや』
「こいつら相手じゃ無理だな」
「何言ってるんですか!来年はやってもらわないと。二年に鬼のようにスタミナつけさせて」
新田がふっと笑う。
「結局さあ、俺達バスケが好きだったんだよ。
それだけだ。結果はついてきただけだ・・・」
三人がふっと顔の筋肉をゆるめる。
そうだよな。好きだから今ここに座っているんだよな・・・。
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