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桜の花の咲く頃に②
「おい。手、出せ」
「はい?」
「おら」
手のひらに乗ったのはネクタイだった。
「ウチのネクタイは学年色じゃないからな。使いたかったら使え」
「五月・・・」
「まてっ近づくな。新田が見てる!きっとどこかで見てる!」
「あと・・・ん・・・」
「五月?」
「ほらよ!!」
パシンと無造作に柴崎に握らせる。
「・・・カギ?」
「大学行くのに俺家出るから。それにどーせ女連れ込ませる事させねーんだろ?」
柴崎は大事にカギを見つめ、
「はい。女どころか男も入れませんから!」
「いや、それ、ちょっと違くね?」
「おーい、そろそろ行くぞー根屋」
「お、おー了解!」
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