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豹変
次の瞬間には身体が軋むほど強く抱き締められてて。声を上げる間もなく唇に彼の口唇が重ねられていた。まわりに家族連れがいるのにも関わらず。しかも一太の見ている目の前で。
【颯人さん・・・っ】
不意打ちの驚きと息苦しに必死に抗った。でも、体格差、力の差は歴然としていて。やすやすと押さえ込まれ、更にきつく抱き寄せられた。
【んっ・・・っ・・・】
自由を奪われたまま、柔らかな舌の根の部分を貪られて、背筋を寒気が走った。
颯人さんのそれに、お兄ちゃんのが重なる。
【イヤだ!】
怖くて、嫌悪感しかなくて。
抵抗しても無駄なのは分かっていたけど、彼の胸元を懸命に押した。
【はや・・・ら、め・・・】
それなのに一向に止めようとはしなくて。舌をねろねろと纏いつかせ、なぶられた。
やがて情動が過ぎたのか、微かな濡れた音と共に名残りおしそうに彼の唇が離れ、ゆっくりと体が離れていった。
「耳まで真っ赤にして。本当、君は可愛いね」
くすりと満足そうな笑みを浮かべる彼。
「一太が昼寝したら、しよう。いいだろ?」
ゾクッとするくらい大人の色香を漂わせ、情欲に魘された熱い眼差しを向けられた。
「俺は、君のお兄さんみたく決して傷付けたり
はしない。だから、恋人として・・・いや、夫として、君を抱きたい。一太に兄弟を作ってあげよう」
心の奥底まで見破られそうな鋭い眼光に身動ぎを封じられ。
「まま、いちた、あかちゃんほしい!」
キラキラと目を輝かせた息子に、トドメとなる一言を言われてしまい、断る逃げ道を完全に塞がれてしまった。
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