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新しい生活のはじまり
「どうした未知?腹減ってないのか?違うもの注文するか?」
矢継ぎ早に卯月さんに声を掛けられた。あわてて首を横に振って、バンバーグを口に運んだ。
「なぁ、未知・・・やっぱいい。さっさと食え。家まで送るから」
彼は何を言いたかったんだろう。何事もなかったように一太の面倒を見ながら、ご飯を食べていた。
食事が終わり、家まで送って貰った。空腹が満たされ、一太の嬉しそうな顔に安堵したのか、車が走り出して5分と掛からず、寝てしまった。
目を覚ますと、カーテン越しに眩しい陽射しが飛び込んできた。眩しさに顔をしかめたあと、はっと我に返り、慌てて飛び起きた。
ベージュ色の高い天井には大きな天蓋つきの照明が付いていて、ピカピカに磨かれた床の上には金色の細かい刺繍が施された絨毯が敷かれていた。しばし固まったのち、キングサイズのふわふわのベットから起きあがった。
夢でも見てるのだろうか。
そんな事を思いながら、ドアに恐る恐る近付いた。
「おはようございます」
顔を出すと笑顔の橘さんと目が合った。
「正確にいえばお昼ですけど。卯月に、疲れているから起こすなと言われまして。一太くんは、卯月が面倒をみてますから心配ありませんよ。お腹空いたでしょう?準備はしてありますのでどうぞ、こちらに」
リビングはカフェよりずっと広い。
柔らかな陽射しが差し込み、細部まで掃除が行き届いていて、綺麗に整理整頓されてあった。
「もともと卯月が、お気に入りのホステスに買い与えるために購入したんです。自宅は別にあります」
橘さんに促され、キョロキョロと辺りを見回しながらソファーに腰を下ろした。
「実は昨日、卯月に命じられ、あなたたち兄弟の行動をずっと見ていたんです」
【え!?】
にわかには信じがたい言葉が彼の口からいきなり出てきて吃驚した。
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