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それでも彼が好き
「未知・・・好きだ・・・」
彼の口唇が唇に触れる。
指を絡ませながら、口付けを幾度も交わすうちシーツの上にもたれあうように倒れ込んだ。
真っ直ぐに見詰められ。
瞼にまだ見たことがない彼の奥さんの姿が映りこんだ。
「どうした?そんなにじっと見て」
不安そうな彼の声に、すぐ首を振った。
「そうか、それなら良かった・・・嫌ならすぐやめる」
彼の手がスウェットのズボンの中へと滑り込んできた。
【やぁ・・・】
足を閉じようとするも、器用に潜り込んできた彼の指先が、足の間の、誰にも見せたくない秘所に触れてきて、思わず身をよじった。
「未知・・・」
情欲に掠れた声に耳の奥が震える。
好きな人に触れられて嬉しいはずなのに。
なんで・・・
怖いなんて。
やがて卯月さんの大きな掌が、僕の小さな陰茎をスッポリと包み込んだ。
【やぁ・・・!】
お兄ちゃんにされたことが脳裏に蘇り、寒くもないのにガタガタと体が震えだした。
【お願い、手離して・・・怖い・・・】
握りこぶしを作って彼の胸元をポンポンと叩いた。
「少し触れただけなのに、先っぽからトロっとした透明の露が溢れてくる」
【イヤだ】
ぶんぶんと首を横に振った。
【・・・ゃ・・・あ・・・っ】
卯月さんは手を離すどころか、そのままゆっくりと上下に動かし始めた。彼の手は、火傷しそうなくらい熱くて、その手に揉むようにしごかれ、甘く痺れるような快感が全身にあっという間に広がっていった。萎えていた僕のは、形を変え、嵩を増していった。
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