54 / 3588
彼に一途に愛されて
家に帰っても彼の機嫌は直らなかった。
橘さんにはほっとくのが一番そう言われたけれど。
はぁ~~
もはや溜め息しか出ない。
「何、溜め息ついてるんだ」
クスッと笑い声が後ろから聞こえてきて、振り返ったら腰にタオルを巻いただけの彼がいて、驚く間もなく逞しい二の腕に抱き締められた。
髪も、体もまだしっとりと濡れてて。
ろくに拭かず急いで上がってきた、そんな感じだった。
一太とお風呂に入っていたはずなのに。あれ、何で?
「橘が面倒みているから安心しろ」
ふわりと体が宙に浮いて。
気が付けばお姫様抱っこされていた。
「未知、俺の面倒みてくれ。我慢出来そうにない」
タオルからちらっと顔を出すソレは完全に勃ち上がり、反り返っていた。
初めてみる彼の雄。
息を飲むくらい大きくて、お腹にくっつくくらい長大で。
それを見たその瞬間、頬から耳まで朱色に染まるのが分かった。
「嫌なら止める」
ちょっ、ちょっと‼
卯月さん‼
一太が、まだお風呂にいるんだよ‼
「一太は橘に任せておけ」
そんな・・・
手足をばたつかせ、無駄だと分かっていても一応抵抗を試みた。
でも結局、有無言わさずそのまま書斎に連れて行かれた。
「未知、こっちを向くんだ」
彼の膝の上にちょこんと座り、抱き寄せられて向かい合った。
恥ずかしくて目のやり場に困り、視線が宙をさ迷う。
「嫌いになったか?」
頬を両手で包まれ彼と目が合った。
「嫉妬深いし、焼きもち妬きだし」
自嘲する彼。
均等の取れた肢体が眩しい。
「わりぃな、未知があまりにもかわいくて、抑えが効かなくなるんだ」
ぶんぶんと首を横に振った。
「未知は優しいな」
欲情に濡れた真剣な眼差しでじっと覗きこまれ、心拍数が一気に跳ね上がった。
ともだちにシェアしよう!