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プロポーズ
「俺は未知と一太を手放す気はないし、彼に渡す気もない」
彼の手がほどかれ、今度は頤を掬われ間近から見詰められた。
「ごめんな怒ったりして。お前が好きすぎて歯止めがきかなくなるんだ。なぁ未知。その・・・キス、してもいいか?仲直りのキスをさせて欲しい」
律儀で誠実で、それでいて不器用な彼。
いちいち謝らなくてもいいのに。
いつもの優しい卯月さんに戻ってくれればそれで。
コクりと頷くと、彼の顔が近付いてきた。
「茨木さんに嫉妬するなんてーーほんとごめんな。俺が悪かった」
謝罪の言葉が、熱い吐息と共に唇を撫でる。愛しているよ、甘く優しく囁いて静かに重なってきた。
隙間から入りこんできた薄い舌に、くちゅくちゅと口内を舐めまわされる。
もうそれだけで蕩けそうになり、熱で体が火照りだした。
昨日まではあれほどこわかったのに。
【ふ、ぅ・・・ん・・・】
舌を掬いあげられ、絡めとられて、吸われると頭が真っ白になってしまうほど気持ち良かった。
「とろんとして。そんなに気持ち良かったか?」
頷くと舌の根をちろちろと舐められ、更に深く唇を重ね合わせると、背筋がぞくぞくと震えた。
「その顔、俺以外に見せるなよ」
情欲に濡れた眼差しを真っ直ぐに向けられて。
こんなとき喋れればいいのに。
彼が好きってこの想いを伝えることが出来るのに。
「まま~~」ちょうどその時、一太がぐずり始めて、現実に引き戻された。
何しているんだろう。一太がすぐ間近で寝ているのに・・・
「おいで」
僕が動くより彼が早かった。
キスを中断され、てっきり良いところだったのに!と仏頂面するのかと思っていたから拍子抜けしてしまった。
ふぇ~~ん、まま~~!まま~~!
火がついたようにわんわんと泣き出した一太を抱っこすると、あやしながらベランダまで連れていってくれた。
「大丈夫、大丈夫だから」
慣れた手つきで背中を擦り、優しく話し掛けてくれる彼に安堵したのか、五分と経たずに再度眠りに落ちていく一太。
「未知、さっきの話し、まだだっただろ?」
卯月さんが一太を抱っこしたまま隣に座り込んできた。
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