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蜜月

翌朝、全身が鉛の様に重く、気だるい中で目が覚めた。 起きようとしても、体が言うことを聞いてくれない。 「おはよう」彼に腕枕をしてもらい、温かな広い胸に顔を埋めると、もう片方の腕が背中に回ってきてギュッと抱き締められた。 儚げに柔らかい日差しがカーテン越しにキラキラと輝く朝。 いつもと同じ朝。何ら代わり映えのない朝のはずだけど・・・ 【一太‼そうだ‼】 すっかり頭から息子のことが消えていた。面倒もみないでほったらかしにしてこれじゃあ、母親失格だ。 もぞもぞと体を動かすと、体のあちこちに鈍い痛みが走った。 「あれだけ酷使したんだ。無理しない方がいい。一太なら心配ない。さっき見てきたらまだ熟睡していたから。しかし、親思いのいい子だな」 あまりの痛さに我慢できず顔を歪めると、クスクスと笑われた。 「今日は大人しく寝てろ。たまの休みだ、ゆっくりしたらいい」 彼に甘えてばかりいる自分が不甲斐ない。 「俺たち、夫婦だろ?協力し合えるところは協力して、助け合っていかないと。まぁ、今まで家庭を顧みなかった俺が言う台詞じゃないが・・・」 にこやかに微笑みかけてくれる彼に、満面の笑みで返した。 今日から彼の奥さんとしての毎日がはじまるんだもの。 左手薬指の指輪に誓って頑張らないと。

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